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2017.10.12

ベース・マガジン

Low End Theory of the HIPHOP BASS〜ヒップホップからベースを学ぶ!|ベース・マガジン2017年10月号より

text by 伊藤大輔

Low End Theory of the HIPHOP BASS

〜ヒップホップから学ぶ、ローエンドの哲学〜

 ヒップホップは黒人が作り出した文化だ。そして、その文化を構成する要素のひとつが"音楽としてのヒップホップ"である。多くのヒップホップ・ミュージックは、ほかの楽曲の要素を取り込んでリクリエイトする"サンプリング"という手法で形作られる。そして、この写真のふたつのレコードがその最たる例で、シックの「グッド・タイムズ」(写真上)をサンプリングして生まれたのがシュガーヒル・ギャングの「ラッパーズ・ディライト」(写真下)だ。こうしてさまざまな音楽を取り込んできたヒップホップは、いわゆる"音楽のるつぼ"だと言える。そのなかで聴くことができるベース・ラインは、音楽の常識からは考えられない"意外性"で溢れている。他者のアイディアを利用する"サンプリング"は、決してローエンド(=低級)な手法ではない。そこには哲学が存在し、手にすれば音楽を作るための武器となるだろう。

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CATCH THE HIPHOP

 若者の声を代弁する音楽として世界中から支持されるヒップホップは、もともと1970年代後半に、ニューヨークのブロンクスで産声をあげたストリート・カルチャーだ。この音楽に潜むベース・ラインとは、どのように変化していったものなのだろう-? ここでは、サンプリングとヒップホップのべース名曲の変遷を追った。

DJ文化が生んだサンプリング
黎明期ヒップホップのネタ使い

 ヒップホップ音楽の特徴は"数小節のループ・ミュージックであること"、そしてその多くが"サンプリング"で成り立っている。この特性を知るには、スクラッチを始めとしたヒップホップ独自のDJカルチャーを避けては通れない。開祖であるDJクールハークが、2枚のレコードにあるブレイク(間奏)をターンテーブルとミキサーを使い、繰り返しプレイしたのがブレイク・ビーツの始まりというのは有名な話だ(当時の雰囲気を知るならNetflixオリジナル・ドラマ『ゲットダウン』がオススメ)。

 この記事ではヒップホップ・ミュージックのベース・ラインが、時代を経るごとに、どう変化したか言及するが、レコードのなかからブレイク・パートを見つけ出し、それを抽出してビートを作るというのが、この音楽の本質。ベースはそこに付随するものと理解して読み進めてほしい。

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 ヒップホップが初めてアメリカのトップ40に入ったのが、シュガーヒル・ギャングの1979年作「ラッパーズ・ディライト」。この曲のサンプル・ネタが、シックの「グッド・タイムス」ということは、つまりベースはバーナード・エドワーズだ。当のシックもこの曲を同年にリリースし、ビルボード・チャートで1位を記録しているように、話題のヒット曲をサンプリングしてラップを乗せるというのも、当時ならではのやり方とも言える。

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 1970〜80年代のサンプル使いは、大ネタ(名曲)の宝庫。同じくオールドスクール・クラシックとして知られるカーティス・ブロウの「クリスマス・ラッピン」(79年)のネタは、クイーンの「地獄へ道連れ(Another One Bites the Dust)」。ジョン・ディーコンのタイトなベースを延々と繰り返している。

(続きはベース・マガジン10月号で!)


ベース・マガジン 2017年10月号

1,234(本体1,143円+税)

品種雑誌
仕様A4変形判 / 184ページ / CD付き
発売日2017.09.19

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