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2018.06.01

サウンド&レコーディング・マガジン

【Interview】THE BEATNIKS=高橋幸宏+鈴木慶一 37年目の会心作を語る|サウンド&レコーディング・マガジン2018年7月号より

Text by iori matsumoto

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キーボードを弾いていると後ろから手が出てくる
"そこの音はこっちがいいんじゃない?"って

1981年に、当時人気絶頂にあったYMOの高橋幸宏(写真右)と、ムーンライダーズの鈴木慶一(同左)が始めたユニット、THE BEATNIKS。これまで不定期に再結成を繰り返しながら、4枚のアルバムを残してきた。長年2人が紡いできたのは、その時々の音楽的興味、そして長いキャリアを通じて得てきた音楽的要素をポップ・センスとセンチメンタリズムで包んだ楽曲群だ。この5月にリリースされた最新作『EXITENTIAIST A XIE XIE』は、そのキャリアの中でも最高傑作と言っても差し支えない出来栄え。歌詞に描かれる怒りや悲しみといった感情を、80'sテクノ・ポップを思わせるシンセや、個性の塊とも言える高橋のドラム、2人のユニゾン・ボーカル、そして多くのゲストによる彩りでパッケージングしている。三十余年も続くこのタッグ、なぜ今もって鮮烈なサウンドを生み出せるのか。その秘密を探るべく、作業の様子を2人に語ってもらった。

キーボードを弾いている隣で
全く関係無いギターをガンガン鳴らしてる

ー今回のアルバムは、THE BEATNIKSに限らず、これまでお二方がやってこられたサウンドの要素が凝縮されて、最新型に結実しているように思いました。

鈴木 2人で集まると1日に1曲できるんでね。どっちかから始めたら、こうしていこうと意見を出す。前作『LAST TRAIN TO EXITOWN』(2011年)からそのスタイルだよ。

高橋 大体僕が先にスタジオに着いて、キーボードの前に座っている。前作では慶一はしばらく待っていたんだけど、今は同時に全く違うことをやっていたりもするんですよ。普通はそれ、邪魔じゃないですか?(笑)。

鈴木 幸宏がキーボードを演奏している隣で、全く関係の無いギターをガンガン弾いている。2011年のときは、相手がやっている間は待って、間奏思いついたから先に入れさせてって言っていたけど、今回は同時だった。普通は騒音だと思うよね(笑)。

高橋 でも、それが全然気にならないし、自分の曲に入り込んでいるつもりが、隣で良いフレーズが聴こえると"それ、良くない?"って(笑)。ともすれば手助けしてほしいなと思いながら、お互いにやっている。

鈴木 "サビは任せた"とかはあるね。レノン=マッカートニー・スタイルというか、二人羽織シンガー・ソングライター。キーボードを弾いていると、後ろから手が出てくるからね。"そこの音はこっちがいいんじゃない?"って。

ーそういった作業はどちらで行っていたのですか?

鈴木 ゴンドウ(トモヒコ)君のstudio no-nonsense。

高橋 大変なのは彼ですよ。同時にいろんなことを言われるから。普通はMIDIでデータを残したがるんだけど、僕がせっかちだから、どんどん録ってもらって。アナログ・シンセだと後で音色が変わってしまったりするし。

鈴木 録音したものを絶対使うぞと。

高橋 意地でも使うぞと。

まりんのシンベは細野さんばりにすごい
ドラム魂に火が点いた

ー80'sを思わせるシンセが多いのも今作の特徴ですね。

高橋 SEQUENTIAL Prophet-5を使っているからじゃないですかね。

鈴木 ミックスの段階でProphet-5が出てくる。

高橋 エンジニアの飯尾(芳史)君が持っているもので、これまでのあらゆる音がセーブされているんです。宝石箱みたいなProphet-5。"それ、教授(坂本龍一)が作った音です"とかね。

鈴木 "LDKみたいな音しているよね"って言ったら(編註:LDKスタジオはかつての細野晴臣の拠点で、飯尾氏はそこで細野のアシストをしていた)、飯尾君が"そうです"って。私の記憶力もまだいけるなと(笑)。

高橋 いい音過ぎるけど、全部それに替えるのもキリがないので、ちょっと足りないところに入れました。

ーてっきりゲストの砂原良徳さんが入れたのかと思っていたら、砂原さんの参加は「鼻持ちならないブルーのスカーフ、グレーの腕章」「シェー・シェー・シェー・DA・DA・DA・Yeah・Yeah・Yeah・Ya・Ya・Ya」の2曲と、マスタリングのみでした。

高橋 まりん(砂原)のベースが清書されてくるとすごいんですよ。シンベだったら細野さんばりにすごいなって。フレーズはやっぱり細野さんっぽい。まりんにとって細野さんのベースはデフォルトなんだと思う。ドラム魂に火が点いてしまうようなベースが来たから、ドラムを生に差し替えるとき楽しいですね。

(続きはサウンド&レコーディング・マガジン2018年7月号にて!)


サウンド&レコーディング・マガジン 2018年7月号

品種雑誌
仕様B5変形判 / 212ページ
発売日2018.5.25

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