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2018.02.15

サウンド&レコーディング・マガジン

SHADOW OF LAFFANDORが"ラファンドール国物語"で追い求めた音の美学|サウンド&レコーディング・マガジン2018年3月号より

Text by iori matsumoto, Photo by Takashi Yashima

SHADOW OF LAFFANDORの"ラファンドール国物語"は、"音で紡ぐファンタジー作品"を銘打たれたプロジェクト。シンガー・ソングライター/バイオリン奏者の矢内景子(写真左)が原案者としてストーリーを考え、ファイナルファンタジーシリーズなどを手掛けたゲーム・シナリオ・ライターの野島一成氏が脚本を執筆。2016年9月からネット配信をスタートし、アドベンチャーRPGのような画面とともにセリフと、毎回書き下ろしの楽曲でストーリーが展開していった。また、2017年にはTOKYO MXでのテレビ放送も行われ話題に。そんなプロジェクト、ストーリーのキーとなるボーカル楽曲を収録した2枚組のCDが発売された。作詞/作曲を担当する矢内と、サウンド・プロデューサーの近谷直之(同右)に、エンジニアの英保雅裕氏を交え(編註:本誌掲載部分で登場)、彼らの制作拠点であるプライベート・スタジオで話を聞くこととなった。

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森のシーンだったら木でできた楽器
マリンバやチェロを使っていこうかと

ーアルバム『ラファンドール国物語 〜ある少女の光と影の追憶〜』は、ストーリーの鍵となる歌モノだけを集めたものですが、ここまでのストーリーの流れが分かるようにしている?

矢内 曲順はストーリーの順序と変えています。ラファンドール国物語では曲の冒頭のセリフも含めて音楽としてとらえているのでそれは収録しているんですが、アルバムとしての意味は持たせたいので、音楽作品としてどう聴いてもらいたいかを重要視しました。

ー矢内さんが曲を書いて、近谷さんがサウンドを作っているわけですが、やり取りはどのように?

矢内 ラファンドールの世界は壊さないということと、二面性という軸はぶらさないようにというのはあります。曲の感情面を全部近谷に伝えて。近谷はオーケストレーションが得意なんですけど、そこにこだわらず、どうしたらそれが伝わるかを考えてもらって......というやり取りをしています。こういう天気で、こういう場所で、と言葉で説明しますね。

近谷 このスタジオで一緒に作業することもありますし、メモのような録音を受け取って自宅でアレンジを進めることもあります。矢内は歌詞とメロディが同時にできるので、それをどう立体的に聴かせられるかをアレンジで考えます。歌詞を読みつつ......例えば森のシーンだったら、木でできた楽器を使っていこうかと考えて、マリンバとチェロかなと。最初はいったんSTEINBERG Cubase Pro 9で打ち込み、ギターも弾ける範囲で全部入れて。そこからどうするか......。リズムは打ち込みのタイトな方がいいのか、生にした方がいいのかは曲次第ですから。

ー作業はCubaseを中心にしているのですか?

近谷 アレンジがCubaseで、録音以降はAVID Pro Toolsですね。

矢内 私がPro Toolsを使っていますし、英保さんにミックスしていただく前提なので、共通言語として。

ーソフト音源は?

近谷 今回のアルバムは歌モノですが、ポップスのアレンジャーが使わないようなものが多いかもしれません。もともとCM音楽を手掛けていたので、いろいろなジャンルに対応するために、世に出ている音源は全部買い占めているくらいなのですが、8DIO、SONICCOURTURE、SPITFIRE AUDIO、OUTPUTは使用頻度が高かったです。

ーストリングスが効果的に使われている楽曲が多いですが、どんな音源を?

近谷 AUDIOBRO LA Scoring StringsかSPITFIRE AUDIO Spitfire Symphonic Stringsに、生を重ねていることが多いですね。後ろにふわっといればいい場合は、生を加えない方が良かったりもします。

ー一方で、プログレッシブ・メタルのような「囚われた光」という曲もあります。

近谷 あれは主人公のリエンが混乱しているというシーンなので、冒頭でピアノを16分音符で連打して、ガチガチにクオンタイズをかけて、人力やアルペジエイターでは弾けないような演奏にしています。整理された複雑さの美学みたいな。

(続きはサウンド&レコーディング・マガジン2018年3月号にて!)


サウンド&レコーディング・マガジン 2018年3月号

品種雑誌
仕様B5変形判 / 260ページ
発売日2018.1.25

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