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2018.01.09

サウンド&レコーディング・マガジン

【Interview】EGOIST|サウンド&レコーディング・マガジン2018年2月号より

Text by Kentaro Shinozaki

マスタリングのリミッターで粗が見えてきたので
全曲ミックスまで戻ってやり直しました

先月号のプライベート・スタジオ特集にて自身のryost 2ndスタジオを公開し、尋常でない物量のアウトボード群が衝撃的だったクリエイター、ryo(supercell)。そんな彼がボーカリストにchellyを迎えて活動するプロジェクト=EGOISTのベスト・アルバムを12月27日にリリースする。デビューとなった2011年の「Departures 〜あなたにおくるアイの歌〜」から、2017年の「英雄 運命の詩」まで16曲を収録。高速ロック、4つ打ち、荘厳なストリングス、ダブステップ、さらには組曲のような複雑な構成のトラックなど、多彩なサウンドにさらなる魂を吹き込むべく、全曲ryo自身がリマスタリング。その制作について聞いてみたい。

DMA-EGOIST_BEST2018.jpg

何度も何度も聴き直して
7回ぐらいマスタリングし直した

ーシングル曲を中心としたベスト盤ですが、最新曲からデビュー曲へと現在から過去に逆行する曲順ですね。

ryo 曲順はボーカルのchellyちゃんが決めてくれたんです。EGOISTはアニメ発祥のユニットで、彼女は楪いのりちゃんというキャラクターを演じるボーカルなので、その変遷を遡って聴いてほしいという意図があったのかもしれません。シングルとライブでやっていて人気のある曲に加えて、最後に未発表曲の「Departures 〜あなたにおくるアイの歌〜 (Acoustic Ver.)」を入れました。この曲は4年前に録ってあったものなんですが、リリースするタイミングが無くて、今回やっと収録できました。

ー収録された既発曲はリマスターされているわけですよね。自身でその作業をやろうと思ったのはなぜ?

ryo 曲調が多彩なので、外部のエンジニアに時間をかけて理解してもらうか、自分でやるかの二択しか無かったんです。そうなると、自分でやった方が早いだろうと思って。実はミックスもやり直しています(笑)。

ー過去の曲をミックスし直しているということですか?

ryo そうです。

ー初期の曲はほかのエンジニアがミックスしていたわけですよね? それもryoさんがミックスし直した?

ryo はい、最初はエンジニアにミックスしてもらっていたんですが、「名前のない怪物」からエンジニアに付いてもらいながら自分でミックスをやり始めて、「KABANERI OF THE IRON FORTRESS」辺りから完全に一人でミックスをやるようになりました。だから、自分としては初めてミックスした曲もあって。サンレコの読者にしか分かってもらえないと思うんですが、約1カ月で16曲をミックスするというのは結構大変だったんですよ(笑)。ステムを元にしたものもあれば、パラからやり直した曲もあって......特に昔エンジニアさんにミックスしてもらった曲は、ステムが無かったり、アウトボードを通していたりで簡単に再現できなかったので、まずCDを聴いてバランスを思い出すところから始めました。

ーなぜミックスし直そうと思ったのですか?

ryo "このトラックのせいでレベルが上がらない"とか、"このパートのせいで全体が良くない方向に行っている"とか、リミッターをかけることで邪魔なところが見えてくるんです。例えば、打楽器って実は音程があるので、ミックスのときは分からなくても、マスタリングのときにリミッターでたたくと音程が見えてきてしまう。それから、歌のノイズもパシパシ出てくるので、もうミックスに戻って修正した方が速いなと。今の耳で聴いたときにバランスがしっくり来ないものもありましたし。

ー既発音源を持っているリスナーも新しいミックスが聴けるということですね。

ryo そうです。よりポップに楽しめると思います。

ー作業はどの曲から着手したのですか?

ryo まず、今回は7周ぐらいマスタリングをやり直しているんですよ(笑)。というのも、正攻法で1曲目から順番に作業するじゃないですか。その後、逆順に16曲目から1曲目に遡ってチェックしていくと粗が見えてくるんです。それが気に入らなかったので、また1曲目から作業してまた遡ってくるということを繰り返して。しかも作業の途中でBLACK BOX ANALOG DESIGN HG-2っていう機材を買ってしまって、試しにミックス・マスターに挿してみたら"こっちの方が良くね?"ってことになって、また1曲目からやり直し(笑)。そうやって何巡もしました。

ーその作業の過程で、マスタリングからミックスに再び戻ることもあったのですか?

ryo ありましたね(笑)。

(続きはサウンド&レコーディング・マガジン2018年2月号にて!)


サウンド&レコーディング・マガジン 2018年2月号

品種雑誌
仕様B5変形判 / 244ページ
発売日2017.12.25

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