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2017.10.06

ベース・マガジン

明希(シド) 多彩さのなかで研ぎ澄まされた核|ベース・マガジン2017年10月号より

ベース・マガジン編集部

 シドの通算9枚目となるオリジナル・アルバム『NOMAD』は、実に前作から3年6ヵ月ぶりとなる作品となった。そこで展開されているのは、骨太さや疾走感をまとうロックから、インダストリアルさもある実験的なサウンド、ファンキーかつオシャレなポップスまで、バラエティにあふれつつもより芯の強さを感じさせる楽曲たちだ。ベーシストとしてはもちろん、ソングライターとしてもシドのサウンドを牽引する明希は、昨年、2015年から開始したソロ・アーティストとしての活動をより深めていったが、そこで得たさまざまな感触をシドへとフィードバックし、"バンドのベーシスト"としてさらなる進化を果たした。作曲面においてはロックに固執しない多彩さを、ベーシストとしてはロックを核にしたぶれない強さを追求する明希。彼は今、どういう思いでシドという唯一無二のバンドに相対しているのか。さまざまな角度から探っていきたい。

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まずは、3年6ヵ月ぶりのアルバム『NOMAD』に至る流れと曲作りについて聞いてみよう。 多彩な楽曲を生み出す明希の、曲作りの方法論とは?

─『NOMAD』は、シドのオリジナル・アルバムとしては3年6ヵ月ぶりの作品ですね。

 自分たちでもこんなに空くとは思ってなかったんですけどね。ただ、アルバムのリリースはなかったんですけど、活動が止まっていたわけではなくて。前作『OUTSIDER』(2014年3月)を出したあとにツアーをやって、翌2015年がファンクラブの発足10周年ということで、"だったらライヴでしょ"ってファンクラブの限定ライヴをやったり。2016年の1月にはベスト盤を出したんですけど、それまで、例えば3ヵ月ごとにシングルを出して、その次はアルバムっていう同じルーティーンで活動をしていたので、ここで一度時間をもらって曲作りをちゃんとしたいと思ったんです。そのうえで、それぞれのメンバーでやりたいことがあるなら、それをやろうっていうことになったんですね。

─昨年、明希さんはソロ活動を活発化させましたね。

 2015年にソロ活動を始めていたので、2016年もソロ活動をやって、そこを深める時間にもしたかった。シドの曲ももちろん作りつつ、いろんなことを同時進行しながら自分の音楽性を追求する1年でしたね。

─シドについては準備期間を置いて、バンドをもう一度捉え直したということだと思うんですが、具体的にはどのようなビジョンを持っていたんですか?

 シドとして新しいものを作りたいという気持ちはありましたけど、何が出てくるのかを自分でも見てみたいというところもありました。でもそれは、結局ソロ活動も同じだったんです。ソロ活動は、シドでできなかった曲をやろうとしたわけじゃなく、自分がひとりになったときに何ができるか、普段開けない引き出しも無理やり開けてみて、そのときに何が見つかるのかなっていうものだったので。シドに関しても、そういったソロ活動を経て自分が何を感じるか、シドにどんな曲を書けばいいかってそのときに思うのかなっていうのを、自分でも知りたかったんです。

─アルバム全体としては、これまでのシドに比べて骨太で、変な言い方ですけど、男の子が好きそうな作品だと思いました。

 そうかもしれないですね。別に男女を分けているというわけではないけど、クリックのなかでキレイに収まる世界観というよりは、4人でせめぎ合う曲を自由にやりたいっていうところでアルバムのコンセプトが大まかに決まったんです。最初にシングルで出した「硝子の瞳」がバンドがせめぎ合う楽曲というか、疾走感があって緊迫感のある曲に仕上がったし、「バタフライエフェクト」も同じ感じで続いていって。自然と4人のマインドがそういう方向に向いて「螺旋のユメ」、そしてアルバムへとつながっていったのかなって思いますね。

─最新シングルの「螺旋のユメ」を含めて明希さんの曲が6曲収録されていますが、それぞれ、いつ頃に作った曲ですか?

 けっこうバラバラなんですよ。「躾」や「螺旋のユメ」はソロ期間に作った曲だし、「普通の奇跡」の原型はもっと前だし。「XYZ」もちょっと前かな。「NOMAD」はわりと最近ですね。

─TVアニメのオープニング曲としてリリースされた「螺旋のユメ」は置いておいても、壮大な「NOMAD」、シド流ロックンロールな「XYZ」、ファンキーさもあるおしゃれなポップス「スノウ」、モダンな低音感のロック「躾」、明るいミディアムのバラード「普通の奇跡」と、曲調にかぶりがありません。意図的に作り分けていったんですか?

 意識してバラバラにしようと思っていたわけではないですけど、一度作ったものはもうやらないっていう風には思ってますね。もちろん、1周している部分もあるんですけど、同じような曲は2個いらないなって。例えばロックを作るときでも、次はどの角度から見たロックンロールを作ろうかって感じで。一時期は好きなものばっかり作っていて、シドでも似た曲がなくはないんです。それもよさのひとつではあるんですけど、今はもっと広げたいっていう欲求も強かった。

─ソロとシドで、作曲時に意識的に変えていることはありますか?

 やっぱり自分が歌うか歌わないかはデカいですよね。あとは、ソロのほうがより突き詰めた感じというのかな。シドはもっと広がりのある感じですよね。使う脳みそが違うっていうわけではないんですけど、モードが違って、スイッチがバチッと切り替わる。いろんな音楽を聴いたり、普段生活しているなかでいろんなインプットがあったとして、アウトプットはふたつある感じなんです。

(続きはベース・マガジン10月号で!)


ベース・マガジン 2017年10月号

1,234(本体1,143円+税)

品種雑誌
仕様A4変形判 / 184ページ / CD付き
発売日2017.09.19

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