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2017.09.28

the band apartのスペシャル・トーク・セッションを一部公開!|ギター・マガジン2017年10月号より

Interview by 尾藤雅哉、福崎敬太 Photo by 西槇太一

 結成20周年目前のthe band apartがギタマガ読者に贈る、特別なセッション企画が実現! 新作『Memories to Go』リリース・ツアー開始前日の多忙なスケジュールの中、フル・メンバーでのジャムを録音することに成功した。the band apartとしてはほとんど行なわないというジャム・セッションだが、今回はギター・マガジンからの無茶ぶりによって「エーゲ海」と「暴力探偵」というインスト名演が生まれた。ここでは演奏について聞くのはもちろん、馴染みのないタイトルが決まった、その瞬間の会話まで包み隠さず公開!

-まず出来立ての2曲のタイトルを決めましょう。いつもはどう決めているんですか?

木暮 ネタ元を持ってきたヤツが決めますね。

今回のネタ元と言うと?

荒井 速いロック調な曲は話し合いなので全員ですね。

 逆にこの曲は......難しいね。イメージと全然違うタイトルにしようか?

荒井 例えば?

 ロック調の曲のほうを、なんだろう......「エーゲ海の憂鬱」?

一同 (爆笑)。

 エーゲ海行ったこともねぇ(笑)。

荒井 で、メロウなほうに荒々しいタイトル?

 荒々しさというと......「東ティモール」?

木暮 ポリティカルだね(笑)。

地名で表わすんですね(笑)。

 戯れに喋ってるだけですよ(笑)。

荒井 まぁ、それで良いんじゃないかな。

木暮 ロックなほう、探偵物語みたいにしか聴こえないんだけど。

 すげぇ激しい探偵だけど。"忍び"が全然ねぇ(笑)。暴力探偵......。

荒井 じゃあゆっくりなほうを「暴力探偵」(笑)?

 逆にロックなほうが「暴力探偵」でも全然イケるか?

荒井 じゃあそうしよう。で、ゆっくりなほうを「エーゲ海」。......そう思ってあれを聴くとバカにしか聴こえない(笑)。でも、これでちょっと"カッコつけてんの?"って思われるのがおもしろいじゃん。

間違っても自分たちのアルバムには入れられないタイトルですよね(笑)。

木暮 まぁ、入れかねないけどね!

 俺たちのエーゲ海だから、「マイ・エーゲ」。

「エーゲ海〜マイ・エーゲ〜」とか?

 "エーゲ海"って1回言ってるのに(笑)?

荒井 うるせえよ(笑)。もう"エーゲ海"って1年分以上言ったよね。

では、まず「暴力探偵」のほうからお話を......(笑)。

一同 (爆笑)。

編集部からはアップテンポの曲とメロウな曲の制作をお願いしましたが、「暴力探偵」のような曲調になったのは、どのような流れから?

荒井 僕らは単音リフで展開する曲も多いので、聴いてくれる人にとっては"バンアパっぽい"のかなという話をして。あとは合わせていくうちにああなっていったので、「暴力探偵」的に......。

(笑)。始めの単音リフの弾き分けはどのように決まったんでしょう?

荒井 ユニゾンしながら、その合間に好きなことをねじ込んだ感じでしたね。フレーズの折り合いは普段みんなで考えるので、今回はいつもとは全然違うアプローチにはなりました。偶発的な感じというか。

 あんまりセッションってしないもんね。

慣れないセッションで、ソロもアドリブでしたが、そこに新鮮さはありましたか?

川崎 いや、ソロはいっぱいいっぱいだったので特に何も考えずに......(笑)。ああいう感じが好きなので、そのままやった感じですね。

ワウの速弾きが出てきましたね。

川崎 そうですね、逃げ道が見つかったからそこに飛び込んでいっただけなんですけど(笑)。あと、速弾きが好きなので、"速く弾けば何やってもOKだろう"の1点突破です。ああいう古臭い感じというか、90年代のオルタナ的な感じが好きなんですよ。

お互いのギターに関して "こう来たか!"など意外に思ったフレーズはありましたか?

荒井 意外性というよりは"川崎らしいことをやっているな"って印象でしたね。

川崎さんは荒井さんのギターを聴いてどう感じましたか?

川崎 やっぱり"曲としてまとめてくれる"感じがありますよね。僕は曲調を全然無視して好きなことをやっていたので、まったく真逆だなと思いました。

ボーカルを聴かせる曲じゃないということで、リズム体は普段と違いましたか?

 けっこうベーシックな部分だから、......"聞き込み"感を意識したかな。

荒井 探偵の"聞き込み"感ね(笑)。

ちなみに今回「暴力探偵」のギター・スコアを掲載しますが、それぞれのソロで弾きどころというと?

荒井 えっと......何やったかイマイチ覚えてないけど、手グセとは少しでも違うことをやろうと......でもきっとそれも手グセなんだろうな。俺がよくやる音の動きがあるんで、それがわかると思います。

川崎 僕も手グセなんですけど......うーん。

間近で見させてもらって、右手のタッチがめちゃめちゃ柔らかいなと感じました。

川崎 そうですか?(笑)。全然わかんないですけど、それいけないんじゃないですか?

フルピッキングじゃないと(笑)?

川崎 そうしないといけないのかなって。まぁいつもやってることがそのまま出てるので、説明しようがないんですが......すみません(笑)。

ソロでワウを踏んだ以外には、何かエフェクターをかけていましたか?

川崎 A.S.Wのローゲインの歪みをひとつかけてるだけですね。

荒井さんは?

荒井 昔使ってたんですけど、また最近使い始めたMXRのGT-ODってペダルを使ってます。エグいくらいローが出るから、ピックアップをリアにしてソロを弾くと、音像的にちょうどよくなるんですよ。

原さんと木暮さんから見た荒井さんと川崎さんはどういうギタリストですか?

 荒井は下地の基本となる部分をちゃんと弾いてくれる人で。あとは(川崎は)暴れん坊っていう感じですね。

川崎 (笑)。

木暮 荒井もカッチリしているようでわりとクセがありますね。なんていうか、教科書どおりのことはやらないふたりですよ。

逆にギタリストから見た原さんと木暮さんはどういったリズム体ですか?

荒井 木暮は"点で叩く人"っていうイメージです。ノリが大きい人っているでしょ? それに比べて"点"を感じながら叩くっていう。

ギターもその"点"に合わせながら?

荒井 いや、どっちかというと歌に合わせてもらってる感じです。だからドラムのリズムを意識してやっていないっていうのが正直なところ。ベースに関しては、"原さんのベース"ですよね。大きく言うとドラマーがさっき言った2種類ってイメージですけど、ベースの場合は、ベースっぽい人とギターっぽい人。で、原さんはギターっぽい人っていう感じかな。

では歌ったりギターを弾く時は何を聴いているんですか?

荒井 僕はボーカル&ギターなので、リズムはドラムで、歌はベースですね。

川崎さんがギターを弾く時にガイドにしている音はなんですか?

川崎 あまり意識はしてないんですけど、まーちゃん(原)のベースラインで、パッとチョッパーみたいのが入るとすごくノリやすくなったりする瞬間はありますね。まぁ何を聴いているというよりは、フラットに聴いていて、あとで"ここにこういう音があったんだ"って気づくことが多いです。

木暮さんはどうでしょう?

木暮 曲によって違いますけど、俺の場合、一番はベースですかね。その次が歌。うちのバンドは、俺が昔けっこう走るドラマーだったから、みんなにちょっと走るクセをつけちゃったなと思うんですよ。それをここ何年かで、もう少しちゃんとオンでやっていきたいなっていう意識があるので、まず自分の中のカウントを軸にしつつ、ベースを聴いて、歌も聴くっていう感じですかね。

原さんは演奏をするうえで、ガイドにしているパートはありますか?

 ドラムっすね。

木暮 昔よくフィルで走ってたよね。

 まあ俺らは全然走っていいと思うけどね。

木暮 それに全員が合わせてたのが、今観るとラーズ(・ウルリッヒ/メタリカ)みたいでおもしろい(笑)。

the band apartみたいなグルーヴを出したいバンドは多いと思います。

 グルーヴってオカルト的な......ないものをあるって言ってる感じがするよね。実はグルーヴしてないのに"グルーヴィだね"って言ってる可能性すらあるから。

(続きはギター・マガジン2017年10月号にて!)


ギター・マガジン 2017年10月号

品種雑誌
仕様A4変形判 / 254ページ / CD付き
発売日2017.09.13