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2017.09.01

サウンド&レコーディング・マガジン

中田ヤスタカ 〜来るべきソロ・アルバムの行方を占う|サウンド&レコーディング・マガジン2017年10月号より

Text by Kentaro Shinozaki, Photo by Hiroki Obara

2016年10月号でソロ名義でのアーティスト活動を宣言した中田ヤスタカ。それ以降、Perfume/きゃりーぱみゅぱみゅ/三戸なつめらのプロデュースと並行して、「NANIMONO(feat. 米津玄師)」「Crazy Crazy (feat. Charli XCX & Kyary Pamyu Pamyu)」「Love Don't Lie(Ultra Music Festival Anthem)(feat. ROSII)」といったソロ楽曲をリリース。さらにTVドラマのオープニング曲「Jump in Tonight (feat. 眞白桃々)」やゼッド&アレッシア・カーラの大ヒット曲のリミックスも発表している。それらに共通するキーワードは"ポストEDM"。さまざまなジャンルを飲み込んだジャンル定義不可なダンス・ミュージックとして、次なるシーンの行方を予見させるサウンドだ。そんな中田のソロ・アルバムのリリースが何となく見えてきたということで、彼は今どんな未来をイメージして活動しているのか、クリエイターのあるべき姿、そしてこれからの新しい音楽についてじっくり持論を語ってもらった。

中田ヤスタカ

今はいろんなことが過渡期
"音楽"より"人"が重視される状況を変えたい

ー昨年のインタビュー(2016年10月号)以降、"中田ヤスタカ"としてのソロ活動を本格化させ、アルバムのリリースも見えてきたようですね。

中田 自分の名義を使って曲を出していこうと考えたのは、"何かに使われていく音楽"をやる機会が多くなったからなんです。Perfumeにしてもきゃりーにしても、大規模に展開されることが先に決まっているケースが多くて、それはそれで楽しいんですけど、何も考えずに"先に音楽を作る"ということをやりたいなと。という割には、第1弾の「NANIMONO(feat. 米津玄師)」は映画の主題歌でしたけど(笑)。でもシングルの「Crazy Crazy (feat. Charli XCX & Kyary Pamyu Pamyu)」などを通して、そういう作り方が楽しめている感じ。CAPSULEをやってるときの感覚に近いですが、さらに自由度は高いかも。

ー中田さんの中にある新しいサウンドをアウトプットするチャンネルとして、ソロ活動を始めたという意味合いもあるのでしょうか?

中田 今はいろんなものが過渡期かなと思っていて、ジャンルが流行しているかどうかって、僕にとっては結構どうでもいいことなんです。そういうことは個人が考えても仕方無い。一番思うのは、音楽の聴かれ方の変化だと思うんですよね。もともとそうだったのかもしれないですけど、簡単に言うと"好きな人がやっている音楽を聴く"のか、"好きな音楽をやっている人を知った"のか、どちらの目線なんだろう?とよく考えていて。両方の場合もあると思うんですけど、どちらかにしか興味が無いというのは面白くない。それはYouTubeとSoundCloudで音楽を聴く人の違いでもあって、人を見るために聴いているのか、音楽自体を聴いているのかで変わってくる。

ーバンドも含めてアイドル化が顕著な現在のポップ・シーンでは、圧倒的に"人"が先ですよね。

中田 そうですね。僕自身もPVはあった方がいいと思いますけど、音楽を聴くってことだけで言ったら無くてもいい。それくらいの気持ちで音楽を聴く人と、無音でもPVを楽しめる人が両方居る。それって真逆な人たちですけど、接点が無いだけで近い感覚はあると思うんです。そこが一緒になったら面白い。人だけじゃなくて、音楽も総合的に強い状態にしたらカッコ良いなと。しかも、音楽自体も"これはプロの目線で見たら面白いことをやっているんだよ"とか、そういう音楽を分解しないと分からない見せ方じゃなくて、誰が聴いても明確にしたい......そういう人ってなかなか世の中に少ないし、でも逆にやりがいはあると思いますね。

ーなるほど。

中田 今の日本だと、ボーカリストじゃない人の名義で作品が出ていたら、"?"って思う人が大半だと思うんですよ。だからこそ自分がやる意味がある。過渡期と言ったのは、そういう部分がもう少し違うものになっていくんじゃないかなと。僕は割といろんなことを一人でやりますけど、誰が主役かというと、作品自体を主役にしたいと昔から思っているんです。そうすると、こうやってソロ活動をしなきゃいけないなと思っていて。例えば映画は主演の人だけじゃなくて、監督や脚本家も含めて一つの作品という認識がある。でも音楽に関しては、作品というよりも人ありきになり過ぎているのかもしれない。

ーそういう意味では、Perfumeはメインの3人がいて、中田さんが音楽を作り、MIKIKOさんが振り付けをするなど、バランスが良いアーティストと言えますね。

中田 自分がかかわっているアーティストはいろいろ例外なことが多いですけど、世の中全体としてはまだまだ偏りがある。そういう道をこれからも開拓していきたいんですよ。例えば、僕みたいなスタイルのクリエイターがアイドル・グループに音楽を作ることって、もはや普通になりましたよね。

ー確かに、それは中田さんがPerfumeで一つのスタイルを確立したのが大きいと思います。

中田 もちろん当時はそういう状況ではなかったわけで、それと同じように新しい道筋をまた作っていきたい。今は難しいことでも、何かきっかけさえあれば、と感じることはたくさんあるので、これからのクリエイターのチャンスのためにも、僕は先に岩を削っておくみたいな役割ですね(笑)。そうやって続けていると、学生だったときからずっと僕の活動を見て育ったTeddyLoidみたいなアーティストが現れたり、あとbanvoxみたいな若い世代と一緒に音楽を作る楽しさがあることも広められたらうれしいな、とも思っています。

(続きはサウンド&レコーディング・マガジン2017年10月号にて!)


900(本体833円+税)

品種雑誌
仕様B5変形判 / 260ページ
発売日2017.08.25

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