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2017.07.03

サウンド&レコーディング・マガジン

9mm Parabellum Bullet『BABEL』インタビュー|サウンド&レコーディング・マガジン2017年8月号より

Text by Yoshihiko Kawai Photo by Yusuke Kitamura

9mm Parabellum Bullet『BABEL』インタビュー

 2007年にメジャー・デビューを果たし、今年10周年を迎えるロック・バンド9mm Parabellum Bulletが、7thアルバム『BABEL』をリリースした。前作『Waltz on Life Line』では、メンバーおのおのが作詞作曲を手掛け、一発録りによるレコーディングが行われたが、今作は全作詞をボーカル&ギターの菅原卓郎が、全作曲をギターの滝 善充が担当。レコーディングもそれぞれが個別に行うという、9mmとしては初めての試みとなった。その制作過程において、滝はプライベート・スタジオを構え、楽曲制作に没頭したそうだ。今回はそのプライベート・スタジオに初潜入し、本作がどのように作られたのか、滝にじっくり語ってもらおう。

プライベート・スタジオでの楽曲制作が 『BABEL』のエネルギーになっています

ー前作から約1年でリリースされた今作『BABEL』ですが、どのように制作を進めていったのでしょうか?

 そもそもの発端は2年前くらいになるんですけど、私が骨折していた時期があったんです。そのときにバンドみんなでおのおの曲を作ろうという期間を設けていたんですけど、骨折もしていたので気力もなくて、元気もなくてスランプに陥り何も作れなくなってしまったんですね。でもその後にシングル「インフェルノ」ができたことで、スランプを脱出できました。そこでパワーが戻ったので、リリースとか関係なく曲を作りたいなと、80曲くらい一気にデモを作ったんです。そうしたらレコード会社や事務所から「すぐにCDを出そうよ」と持ちかけられ、それをきっかけに今回のプログラムをスタートさせたんです。

ー「インフェルノ」でスランプを脱却できた理由とは?

 アニメ『ベルセルク』の主題歌のオファーをいただき作ることになった曲なんですけど、主題歌の尺の89秒でフルコーラス作ってやろうと挑んだんです。実は昔、アニメ『RD 潜脳調査室』の主題歌でも挑戦したんですけど、そのときはできなかった。でも今回はできてしまったんです。しかもかなり良い内容で。周りから"短くない?"と言われたんですけど、それを突っぱねることができるくらい自信があったし、メンバーとアニメ制作サイドの人からは"最高じゃん、アニメにぴったりだよ"と言ってもらえて、そのままいくことになりました。そういうところからエネルギーをもらって、スランプから脱却できたんです。

ー『BABEL』に収録した楽曲は、そのときに作った80曲あまりのデモから選んでいったのですか?

 そうですね。振り切ったアルバムにしようと思い、デモの中からゴリゴリで激しい曲から順番に選んでいきました。ちょっとくらい無茶したプレイが入った曲があっても良いなと思っていたので、今までのバンドの演奏レベルを超えてくる曲ばかりになってしまった(笑)。レコーディングをどうしようかなぁと、エンジニアの日下(貴世志)さんに相談したら、今回は分け録りにしようと提案してくれたんです。その方がごちゃごちゃせずに安心して作れるし、見通しの良い作品になるんじゃないかと。9mmではやったことがなかったんですけど、日下さんにお任せしようと思ったんです。それで私はこのスタジオでかなり綿密にオケを作り込んで、完成した音をメンバーに渡して分け録りしていきました。

ーデモはいつもどのように作っているのですか?

 作曲の際はいつもギターかドラムから作るんです。「インフェルノ」はドラムだけを全部作ってから、ほかの楽器を入れていきましたし、『BABEL』に入っている曲は、どちらかというとギターから作った曲が多いですね。そして、デモとしてメンバーやスタッフに聴かせるものを作る場合は、全パート自分で演奏して録音していくんです。実際に演奏してみないと、どういうところがアンサンブルの要になるのか分からないんです。いつもはフルコーラスで演奏して録音するんですけど、『BABEL』の曲は難し過ぎて、ドラムはワンコーラスが限界でした(笑)。だから恥ずかしい話ですが、打ち込みも使いましたね。

ーギター・サウンドもそのときに作り込むんですか?

 最近は、デモ作りの段階ではギターはクリーンで録ることが多いです。昔はKEMPER Profiling Amplifier Headに頼って作っていたんですけど、常に手元にあって使える状態ではなかったので、DIから自作のマイクプリに入れて録るようになりました。それを人に聴かせる段階で、WAVESのChris Lord-Alge Segnature Seriesを各楽器にかけて、マスターにWAVES L3 MultiMaximizerを挿すくらいしかしていません。自作のマイクプリが結構良くて、リッチな音でスピード感もあって楽しく弾けるんです。だから音色にはあまり左右されない曲作りをしていますね。

ーそういったデモ作りに、新たに稼働したこのプライベート・スタジオが役に立ったわけですね。

 そうなんです。ここは昨年の春から着工して、夏くらいから稼働し始めました。それまでは、YAMAHAのドラムを一輪車(ねこ車)に乗せて、海辺でたたいていたんですけど、それを見かねた父が、"ドラムが入るくらいのスタジオを作ってやろうか"と言ってくれて、こんなレベルのものができてしまったんです。全部ホームセンターで買った材料を使って作ったので、激安ですよ(笑)。・・・

(続きはサウンド&レコーディング・マガジン2017年8月号にて!)


特別定価 1000(本体926円+税)

品種雑誌
仕様B5変形判 / 268ページ
発売日2017.06.24

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