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2019.07.24

LITE・山本晃紀が"生音"で突き詰めた新作『Multiple』

Text by : Isao Nishimoto Photo by SARU

独自のエモーショナルかつスリリングな楽曲でリスナー達を魅了するインストゥルメンタル・バンド、LITE。7/25(木)発売のリズム&ドラム・マガジン9月号では、プログレッシヴなアプローチと確かなテクニックでバンドのボトムを担うドラマー、山本晃紀にインタビュー! 6/5(水)にリリースされた最新アルバム『Multiple』のタイトルは"掛け算"を意味するが、今回はそのバンド・アンサンブルの中に隠された制作過程の秘密に迫る。ここでは、その内容を一部抜粋してお届けしよう。

海外のライヴで実感した生音の強さ
今回はそれを突き詰めていった

●新作『Multiple』は、LITEらしさを感じるサウンドに新しい要素が加わり、音像のバリエーションも豊かで、何度も繰り返して聴きたくなるアルバムだと感じました。

○ありがとうございます。今回はエンジニアが4人いて、それぞれの曲に合う人にやってもらう作り方をしたのが大きかったですね。例えばJ・ロビンス(2009年「Turns Red EP」でエンジニアリングを担当)だったら、やっぱり彼らしいUSハード・コアっぽい音で、美濃さん(美濃隆章[toe]/2008年『Phantasia』でエンジニアリングを担当)は、いわゆるポストロック的、マスロック的な音像が得意。カオルさん(三浦カオル/2011年『For all the Innocence』以降でエンジニアリングを担当)は構築するのがうまいし、完成まで何か少し足りない感じがする曲で意見を聞きながら作っていける人で、実験的な曲やインタールード的なところはメンバーの構造(楠本構造/g、syn)がエンジニアもやって、エフェクトのかかり具合いとかを一緒に話しながら作業しました。みんな違う音を出しているんですけど、それらがマスタリングを経て良い具合に混ざって、でも、それぞれに違うエッセンスがある仕上がりになったと思います。

●今回は、曲のストックがたくさんある状態でレコーディングに入ったという話を聞きました。

○曲作り自体は、前作の『Cubic』(2016年)を作り終わってすぐにスタートしていました。『Cubic』は音数を結構絞って、生音回帰なイメージで作っていったんですけど、それでもまだ足りない部分があったので、今回はできるだけ生音で、自分達でライヴで再現できるアレンジにするのがテーマでした。音数が少ないからこそ、各楽器の絡みやユニゾンをしっかり聴かせて、それぞれの音も極限まで作り込んで1音の強度を高くする。そういう感じで、1分くらいのネタをとどんどん作っていました。

●それはフレーズの素のようなもの?

○曲のとっかかりになるメイン・フレーズですね。そこでグッとこないと先に進めないので、このフレーズはいいよね、というのを全員で共有できたところで、とりあえず寝かせておく。そういうネタのストックが今回はたくさんありました。

●ライヴで再現できる生音主体のアレンジというのは、バンドとしてはとても真っ当なアプローチですね。

○海外ツアーに行くと、シンセや同期が思いきり鳴っている曲より、生音でガツっていく曲の方かが盛り上がるんです。特に向こうの人は反応がダイレクトで、いい演奏をすればいい反応が返ってくるし、フラットなテンションでやると向こうもフラット。その中で、演奏に対して反応しやすいのが多分生音だったんです。1st(『Filmlets』/2007年)、2nd(『Phantasia』/2008年)と生音でやってきて、3rd(『For All The Innocence』/2011年)と4th(『Installation』/2013年)でだんだん同期が入ってきたんですけど、4枚目のときに「Bond」という曲ができて、ギターをループさせながら音像としてはバンド・サウンドというのがキラー・チューンになったこともあって、僕らの一番の強みはやっぱり生音だというのを実感しました。そこをさらに突き詰めていったのが今回のアルバムです。

本誌では引き続き、新作『Multiple』ができるまでのプロセスやフレーズを構築する上でのこだわりについて語られ、今作のレコーディングで使用した機材も紹介している。さらに、制作段階でV-Drumsを使用した際のDAW画面を一部公開し徹底解析!
このインタビューの続きは、7月25日(木)発売の「リズム&ドラム・マガジン」2019年9月号にて!

▼「リズム&ドラム・マガジン 2019年9月号」コンテンツ内容
https://www.rittor-music.co.jp/magazine/detail/3119119004/

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