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2017.06.26

サウンド&レコーディング・マガジン

コーネリアス『Mellow Waves』インタビュー ポップスと実験精神がまばゆく絡み合う異世界へ。|サウンド&レコーディング・マガジン2017年8月号より

サウンド&レコーディング・マガジン編集部

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 11年目にしてついに完成した。小山田圭吾のソロ・プロジェクト=コーネリアスが、2006年発売の『SENSUOUS』以来となる久しぶりの新作『Mellow Waves』を6月28日にリリースする。サウンド&レコーディング・マガジン2017年8月号では、小山田本人はもとより、3-D STUDIOにてマニピュレーターの美島豊明氏とエンジニアの高山徹氏へのインタビューも実行。さらに、この新作完成を祝うべく小山田の盟友・砂原良徳によるアルバム・インプレッションに加え、本誌だけの豪華企画として、細野晴臣(!)と坂本龍一(!)の両氏に本作収録曲をそれぞれリミックス/リワークしていただいた。本誌に付属するレジェンド2人の手掛けた楽曲ファイルも楽しみながら、多角的に『Mellow Waves』の世界へ没入してほしい。祝・コーネリアス新作完成!

テンポが速い曲はしっくり来なくて 結果的にメロウな曲ばかりになった

ーまさに11年間待った甲斐のある内容ですが、アルバム制作はいつごろから着手したのですか?

小山田 2012年ごろかな?

美島 2012年2月8日ですね。ログが残っている。

小山田 今回のアルバムに入っている曲で言うと「Mellow Yellow Feel」が一番古いよね。それより前に作った曲もあったけど、ボツになったり、ほかのプロジェクトに行ったりとかした。

ーその「Mellow Yellow Feel」は自身のアルバムに入れることを想定して作ったのですか?

小山田 最初は自分の曲として作り始めたけど、途中で辻川君(幸一郎/編註:コーネリアスのMVなどを手掛けるクリエイター)がテレビ番組の映像用に合わせる音が欲しいって言ってきたから、この曲が良さそうだなってことで1分くらいのものに仕上げた。今回はそれを発展させてもっと曲らしくした感じです。

ー2012年のスタート時には"ニュー・アルバムを作ろう"という明確な気持ちがあった?

小山田 そういう感じでも無くて、今日スケジュールが空いているからやってみようかっていうノリで(笑)。常に何らかの作業はしていたし、ちょうどその前までツアーがあって忙しくしていたから、たまたま空いたのが2012年のその日だったんだと思う。

ーということは、当初はアルバム全体のイメージなどは特に無かったのでしょうか?

小山田 全然何も無いです。そのときの気分で作っていくような。そうやって常に曲は作っていたんだけど、途中で『攻殻機動隊 ARISE』の仕事をするようになったからそっちに持っていったり、METAFIVEの曲になったり、CM用の曲になったりして、増えては減りという状態で。そういう中で生き抜いてきた楽曲がこのアルバムに入っている感じですね。

ー収録曲を作った時期は同じではないわけですね。

小山田 バラバラです。5年くらいの間にできた曲という感じ。

ーそもそも2012年の段階で既に『SENSUOUS』から6年も経っていたわけですよね。その間にニュー・アルバムを作ろうという気持ちは生まれませんでしたか?

小山田 そのころ何やってたんだっけ......(オノ)ヨーコさんと一緒にやったり(編註:YOKO ONO PLASTIC ONO BAND/2009年)、Salyuとアルバム作ったり(編註:salyu × salyu/2011年)、『デザイン あ』の音楽もやっていたね(編註:NHK教育テレビの番組/2011年)。あとはYMOのライブに参加もしたし。でも一番大きかったのはsalyu × salyuかな。

美島 1年くらいかけてアルバムを作ったよね。

ー他のプロジェクトがたくさんあったため、自身のアルバムは後回しになっていた?

小山田 決して忘れていたわけじゃないですよ(笑)。取材を受けると"コーネリアスの新作はいつですか?"って聞かれることが多かったから、いつも頭の片隅にはあったんです。でもいろいろなプロジェクトに誘ってくれる人がいて、面白そうだからそっちに行ってしまっていた(笑)。

ーアルバムの題材を探すために多方面のプロジェクトに参加したようにも見えたのですが、そうではない?

小山田 そういう経験がこのアルバムに入ってきてるとは言えるけど、特にテーマを探したいという感じでは無かったかな。何となく曲がそろってくると共通するムードが見えてくるから、アルバムはそこに向かって作っていくという感じでしたね。割とテンポが速い曲も作ってはいたんだけど、そういうものはMETAFIVEの方に持って行ったから、今回はメロウな曲ばかりになった。でも、そこは意図的な部分もあって、テンポが速い曲が今の自分にはしっくり来てなかったというのはあります。

最初のコードや音色は割と適当 細かい部分よりも大枠作りを優先する

ー小山田さんとしては、何かを常に作り続けているのが日常の一部なのですか?

小山田 うん、何かやってるね。

ー創作意欲が日々湧き出ている状態なのですか? 例えば、ふとした瞬間にメロディが降りてくるなど......。

小山田 あ、そういうのは全然無いです(笑)。スタジオに来てから考える

ー今回は歌モノ中心のアルバムですが、制作方法に何か変化はあったのでしょうか?

小山田 別に何も変わってないよね?

美島 うん。

ー曲作りは具体的にどのように始めるのでしょうか?作業スケジュールを決めたら、美島さんを呼んで取りあえずスタジオに入る?

美島 そうですね。

小山田 それで最初にテンポを僕が決めます。手をたたいて。

美島 それをタップしてテンポを割り出す。

小山田 そうしたら"キックとスネアを1拍目と3拍目に入れて"って美島さんに言って......この段階は物差しみたいな感じだから、そういうザックリしたものを美島さんがAPPLE Logicで打ち込んでいく。

ーその際に使うリズム音源はどんなものを?

美島 NATIVE INSTRUMENTS Batteryですね。

小山田 たまに新しいキャラの音色を探すときもあるけど、基本的にはよく使うオリジナルのキットがあって、すぐに呼び出せるようになっているんだよね。"生っぽい"とか"デッド"とか"リズム・マシン"とか。リズム・マシンだとROLAND CR-78系とかTR-808/TR-909系の音が用意してある。で、リズムの次はコードかな。

(続きはサウンド&レコーディング・マガジン2017年8月号にて!)


特別定価 1000(本体926円+税)

品種雑誌
仕様B5変形判 / 268ページ
発売日2017.06.24

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