リットーミュージック

DISC 1

13Rocky Raccoon

ロッキー・ラックーン

1968年8月15日、アビイ・ロード第2スタジオで録音

ポールの作ったトーキング・ブルース

 ポールがリシケシュでジョンとドノヴァンの手を借りて作ったトーキング・ブルース風の曲。

 ポール「すごく癖のある、いかにも僕らしい曲。ウェスタンをパロディにして作った。面白くて楽しい話にしたくって、ひと幕劇の台詞を書いているみたいだった。主人公はロッキー・ラックーン。ラックーン(アライグマ)の帽子をかぶったデイビー・クロケットみたいな男だ。恋人のナンシー・マギルをダンに奪われたロッキーの話」。

 『アンソロジー3』でこのデモ音源が聴けるのだが、当初、ミネソタが舞台だったものがダコタに替わっている。詞の中のロッキーが撃たれるシーンで「♪ But Daniel was hot, he drew first and shot」でポールは口で「ブキュン!」と銃の音を真似ているのだが、レコーディングではリンゴが両手でスネアを叩き、銃の音を強調している。ただし、それほど効果は上げていない。

 リズム・トラックのレコーディングでは、ポールはマーティンD-28の低音弦でベースを弾き、高音弦でストロークをしながら歌っている。ベースはおそらくジョンがフェンダー・ベースVIにVOXアンプのトレモロをかけて弾いている。2本のベースが聴こえているので、ポールがリッケンバッカー4001Sでオーバー・ダビングしている。

 リンゴのドラムはハイハット・ワークからスネアと徐々に厚くなっていくサウンドだ。ポールがオーバー・ダビングでドラムを追加。ジョンはハーモニカをオーバー・ダビング。ジョージ・マーティンがホンキー・トンク・ピアノをダビング。

 あえてカントリーのバラッドなどにあるような古さを感じさせるハーモニーで女性の声も聴こえる。これにはポールの奥さんのリンダが入っているという説がある。ポールもヨーコに対抗させることにしたのか?

 「♪Now the doctor came in」の後「♪stinking in gin ~ as soon as I am able」のバックでアコーディオンが入っているが、誰が弾いたのかは不明だ。基本的に物語をリズムに乗せて語ってゆくスタイルなので、完コピをしているのを見たことがない。

<使用楽器>
ジョン:フェンダー・ベースVI、ハーモニカ、コーラス
ポール:マーティンD-28、リッケンバッカー4001S、ドラムス、コーラス
ジョージ:コーラスのみ
リンゴ:ドラムス
ジョージ・マーティン:ホンキー・トンク・ピアノ
リンダ・イーストマン:コーラス
不詳:アコーディオン