沖仁スタイル フラメンコ・ギター

沖仁スタイル フラメンコ・ギター page 24/30

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N A C I M I E N T O100フラメンコへのコンプレックス●新作『Nacimiento[ナシミエント]?誕生?』を振り返ると、どのような作品になったと思いますか?○良い意味でメジャーで制作したことがプラスに働いたと感じてい....

N A C I M I E N T O100フラメンコへのコンプレックス●新作『Nacimiento[ナシミエント]?誕生?』を振り返ると、どのような作品になったと思いますか?○良い意味でメジャーで制作したことがプラスに働いたと感じています。今まで自分が温めてきた音楽性を、今回はより掘り下げることができたと思っていますから。●沖さんの場合、フラメンコを主柱に据えつつも、実は音楽性に限定はないですよね。○ええ、その時々に興味のあることをやっています。フラメンコ・ギタリストと名乗っているからそれしかやれないとは思っていません(笑)。ただ、フラメンコ・ギタリストとしてどこに出ても恥ずかしくない知識、経験、技術は保っていたいというのはあります。●無粋ですが、そこまで惹かれる理由、つまりその根元的な魅力とは?○根底に流れるスピリット。それはある意味、反逆の音楽だったと思うんですよ。アカデミックなものではなく、仲間うちで騒いでいる中から生まれてきたものですし。それとね、スペインって何かあるような気がするんです、自分にとって。妙な因縁が。前世でカルマを残している、なんて言われたこともあって(笑)。●それは根が深い(笑)。フラメンコはある意味で保守的な音楽ですよね。あの革新派のビセンテ・アミーゴでさえ、過去に“伝統は守るべきものだ、でないと変えることもできない”という発言をしています。これについては共感できますか?○いやいや、僕なんかと比べないで下さい(笑)。僕は伝統を守るべき立場じゃないですから。ビセンテはその立場にありながら、殻を破って出てきているんです。だから彼は素晴らしい音楽を作りながらも、ある意味すごく伝統に縛られている気がするし、きっと自由にやり切れてないんだろうなというのが、その音から伝わってきます。ただし、誤解ないように補足すれば、僕が一番好きなフラメンコって、実は昔ながらのトラッドなスタイルだったりします。ただ、それをそのまま引き継ぐのは僕の役目ではないということですね。日本にもフラメンコの伝統を守ろうとしている人たちはいます。そういう人たちからすれば、僕のやり方は賛否両論あるんでしょうけど。僕が共感するのは、ビセンテよりもトマティートのやり方ですね。『スペイン・アゲイン』なんか聴くと、もはやフラメンコ・ギタリストであろうとしていない。内容もアルゼンチン・タンゴが中心だし。いちアーティストとしてミシェル・カミロとコラボレートしているなって感じます。ビセンテは自分に共感した人を集めて作品を作るけど、トマティートはギター1本持って南米まで行っちゃって、そこで作る、みたいなやり方。その方が僕は好きですね。●フラメンコ以外のワールド・ミュージックに手を出したりはしないんですか?○ラテン系のものはギターで成立しやすいので、入りやすいですよね。僕の場合、他のジャンルとの接し方って、ソロ名義としては3作目となる『Nacimient[ ナシミエント] ?誕生?』。20 0 6年11月に発売された本作は、メジャー・フィールドでのリリースという転機のほかに、沖にとってかけがえのない命が誕生し、その思いを封じ込めた記念碑的な作品でもある。発売当時の沖はどんなことを考えていたのだろうか?取材協力:福岡紀行 撮影:堀田芳香『Nacimiento[ナシミエント]?誕生?』発売時インタビューアコースティック・ギター・マガジン VOL.31掲載SPECIAL PROGRAM