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2017.10.13

ギター・マガジン

ザ・スパイダース隠れ名曲ガイド by 中村俊夫|エッジィな男 ムッシュかまやつより

Text by 中村俊夫

●暗闇にバラを捨てよう

20171002_pu7.png68年1月公開の主演映画第2弾『ザ・スパイダースの大進撃』(日活/中平康・監督)の挿入歌で、映画封切りに先行して67年12月25日にリリースされた同名オリジナル・サウンドトラック・アルバム(17センチEP2枚組)にも収録された。イントロからエンディングまで鳴り渡るファズ・ギターとオルガンが印象的な作品で、特にエンディングで一気にスウィンギング・ロンドンへと引き込む手法はお見事!

●メラ・メラ

映画『ザ・スパイダースの大進撃』の挿入歌で、同名オリジナル・サウンドトラック・アルバムにも収録された他、『ザ・スパイダースのバリ島珍道中』でも新録バージョンが挿入歌として使われている。「フリフリ」「バン・バン・バン」と並ぶスパイダースの〝ワンフレーズ・ロック〟曲の代表作で、日本ガレージ・ロックの古典と言える傑作だ。GS後追い世代にも人気が高く、トリビュート・アルバム『スパイダース大作戦』で、デキシード・ザ・エモンズもカバーしている。

●もう一度もう一度

元々は映画『ザ・スパイダースの大進撃』の挿入歌として作られた作品で、同名オリジナル・サウンドトラック・アルバムにも収録された。その後、再レコーディング・バージョンがシングル「あの時君は若かった」のB面曲として、68年3月25日にリリースされている。ビーチ・ボーイズ「サーファー・ガール」ばりのコーラスをフィーチャーしたバラード・ナンバー。

●赤いドレスの女の子

mushA2.pngスパイダースの通算16作目のシングルとして68年6月5日にリリースされた「真珠の涙」のB面収録曲で、日活映画『ザ・スパイダースのバリ島珍道中』のオープニングでも使われた。スティーヴィー・ワンダー「アップ・タイト」を意識したと思われる間奏のトランペットを演奏しているのは日野皓正。アルバム『THE SPIDERS COVER'S』では、パッパラー河合(ギター)、ファンキー末吉(ドラムス)、聖飢魔Ⅱのゼノン石川(ベース)をバックにムッシュがリメイクしている。

●エンド・オブ・ラヴ

20171002_pu8.png68年10月25日にリリースされたアルバム『明治百年、すぱいだーす七年』収録曲。当時日本でもミュージシャンや洋楽ファンたちから注目を集めつつあったジミ・ヘンドリックスの「If 6 Was 9」を意識したようなイントロのリフ、ドラムとキーボードの定位が左右にパニングするサイケデリックな間奏とエンディングが印象的な、スパイダースのニューロック対応作品である。

●コケコッコー

20171002_pu9.pngこれもスパイダースのニューロック対応作品のひとつで、69年8月25日にリリースされた通算19枚目のシングル「夜明けの二人」のB面収録曲。ムッシュにとってはアルバム『ザ・スパイダース・アルバムNo.1』収録の「ロビー・ロビー」以来、久々の阿久悠との共作である。堺正章と井上順の掛け合いも楽しいノヴェルティ・ソングで、ニワトリの鳴き声を模したチッキン奏法を披露する井上堯之のギター・プレイも聴きもの。

●黒ゆりの詩

20171002_pu10.png〝隠れ名曲〟と呼ぶにはちょっと語弊のある有名曲だが、スパイダースを語る上での重要曲としては見落とされがちなだけに、あえて本曲も隠れ名曲と呼びたい。「真珠の涙」に続く通算16作目のシングルとして、GSブームもピークが終わろうとしていた66年9月5日にリリースされ、オリコン37位にランクされている。アソシエイションの全米ナンバーワン・ヒット「チェリッシュ」をモチーフにしたようなソフト・ロック・ナンバーで、編曲を手がけた大野克夫の弾くエレキ・シタールが浮遊感あふれるサイケデリックなムードを醸し出している。67年夏にサンフランシスコを中心に巻き起こった「Summer of Love」と呼ばれるヒッピー・ムーヴメントの中で誕生したフラワー・ソングの数々(代表作はスコット・マッケンジー「花のサンフランシスコ」)への、一年遅れの返答とも言うべきスパイダース版フラワー・ソングである。

(続きは「エッジィな男 ムッシュかまやつ」にて!)


エッジィな男 ムッシュかまやつ

品種書籍
仕様四六判 / 280ページ
発売日2017.10.13