Outtake Interview


撮影:八島崇 

本篇のスタートからいきなりの半ケツ出した状態で登場していますよね。本当に教則DVD かと思いましたよ(笑)。

早朝にわけもわからず拉致られたんですよ,それこそ電波少年的に(笑)。もしくは高田純次の早朝バズーカみたいな感じですね(笑)。プロデューサーとPIZZA OF DEATHの人間が手を組んでたみたいです。

もう完全にドッキリじゃないですか!?(笑)。

はい(笑)。そんな体(てい)で撮影が進みました。でも固い内容にしたくなかったんですよ。最初の打ち合わせをした時点でこちらのノリをすぐにわかってもらえたので,いろいろ御指導を頂いたりしました(笑)。“ここはまだ寝起きのシーンなのでテンション低いままでお願いします”とか(笑)。

教則ビデオを見て練習したことはありますか?

ないですね。世代的にはバンドスコアや“初めてのロック・ギター”みたいな教則本を買ったりとか。でも難しいことが多くて,いまだによくわからないから独学になっちゃったんですけど。

ブルース・スケールの紹介やアドリブでソロを弾くといった解説もしていますが,音楽理論などはある程度弾けるようになってから勉強したんですか?

どうだったかなぁ……どちらかというとタブ譜少年だったのでコピーしていたら自然と覚えていった感じだったかもしれません。とにかく最初はわけもわからず,ただ指板を“図”として考えていたんですよ。8の次は6に移動するのか,みたいな。でもバンドを組んでソロ弾かなきゃいけないという時,タブ譜の図式が頭に染みついていたので自然とフレーズが出てきましたね。

やってみて再発見というか,理論的な理由はあとづけされていった感じだったんですか?

そうですね。自分が弾いていたこのフレーズがブルース・スケールだったんだ,みたいな(笑)。コードを覚えるのも“Cってどうやって押さえるんだろう?”ではなく,先に手の形で覚えてしまって,何年か経って“これがCだったんだ! 簡単じゃん”みたいな感じでしたね。

人から言われて覚えるより,自分で試行錯誤を重ねて発見した時のほうが上達具合って大きいですよね。

でかいですよ。自分で発見するのが一番身になるんですよね。今回,教則DVDを作りましたけど僕自身,よくギターを教えてくれって言われることが多いんですよ。そういう人に“教えることはないよ。自分で弾かなきゃ始まらないじゃん!”って必ず言うんです(笑)。僕がちょっとキツイこと言うと,まわりに“出た。マジ健ちゃん”って言われるんですけど(笑),マジ健ちゃんを押さえて優しくなった僕がDVDの中にいます(笑)。初めて人に優しく教えましたよ。

ちなみに健さんの手癖はありますか?

ピックで弾ききるよりかはプリング,ハンマリングでやっちゃうのが手癖って感じですかね。

では勘太郎さんとのセッションに「美らフクギの林から」,「Sleepwalk」をセレクトした理由は?

「Sleepwalk」は僕の自分のアルバムでやっているし,勘太郎さんも自分のアルバムでやっている曲なのでお互いの「Sleepwalk」をやろうということで選びました。僕は3年前のセッション・ライブがきっかけで,この曲を弾きはじめたんです。もうひとつの「美らフクギの林から」は勘太郎さんの作った曲で,あの旋律がすごく好きなんですよ。

健さんが「Sleepwalk」で弾いているP-90とフェンダー・アンプという組み合わせも意外です。

あれ実はフェンダーじゃなくてヤマハなんですよ(笑)。しかも勘太郎さんから譲り受けたモデルなんです。でロゴの部分には,フェンダーの文字を真似た“Kantaro”っていうのをダンボールで作って貼ってあるんですよ(笑)。勘太郎さんはヤマハのFシリーズを何台か持っているんですけど,僕が勘太郎さんの家にお邪魔した時に“いいなー”って言ってたら,“最近使わないし,使ってくれる人のところにいたほうがアンプも喜ぶからね”って言うのでその場でもらっちゃいました(笑)。

そうだったんですね……すっかり騙されてしまいました(笑)。そのセッション中ですが,勘太郎さんの指をジッと見つめている場面も多々ありましたね。

勘太郎さんギターはすごすぎてもう眺めているだけですけどね。分析までいけない(笑)。“うわー指が踊ってらぁ!”みたいな感じですから。

お互いインプロビゼーションで弾いてもギタリストとしてのカラーが出ているのがおもしろいですよね。

一緒に弾いいて,勘太郎さんのほうが自由度が高い気がしましたね。もちろんキャリアもスキルも違いますけど,僕は僕で精一杯背伸びして釣り合いがとれるようにやってて。で勘太郎さんは僕と一緒にやるとギターではしゃぐんですよ。たぶん僕のほうが若いしパンクだろうから“俺なりのパンク魅せてやるよ!”みたいなところが絶対にあると思うんですよね(笑)。別にバトルというわけでなく,お互いのチンコを見せ合うみたいな(笑)。セッションはすごい楽しかったですよ。

Taking About Signature Guitar“助六”

今日の撮影ではESP製シグネイチャー・モデルの助六,通称イグアナを持ってきていますが,最近メインで使っているんですか?

最近のレコーディングだとミッド・ローあたりのサウンドが欲しいので初代助六のオイルくん(オイル・フィニッシュ)の登場が多いですね。イグアナのトーンはそれに比べてちょっとシャキッとしていて,ライブだといいんですけど,レコーディングだとちょっと寂しいところがあるんですよ。でもすごく良いギターで好きですよ。そういえば,イグアナに新しいステッカーを装着したんですよ。石田寿司って言う(笑)。これドラムのガンちゃんの実家の寿司屋さんなんです。ツアー中に差し入れをくれて。ほとんど奈良に近い東大阪のほうにあるんですけど,差し入れのパックに貼ってあったので丁寧にはがしてギターに貼ってみました。

そのほかにも,ボディの裏にはディッキーズ(アパレル・ブランド:
http://dickies-jp.com/)の値札シールが貼ってあるんですね(笑)。

これは,イグアナが手元に届いたのと同時期に買ったディッキーズのパンツがあったので思わず貼ってみたんですけど,それを見たサージに“お前は新しいギターを持つ資格なんかない”って怒られちゃいました(笑)。

ボディ・バックのバックル痕の位置が低いですね。

これはウォレット・チェーンですね。付けたままライブやっちゃうんで。