リットーミュージック

DISC 1

15Why Don’t We Do It In The Road

ホワイ・ドント・ウィ・ドゥ・イット・イン・ザ・ロード

1968年10月9日、アビイ・ロード第1スタジオ/10月10日、第3スタジオで録音

ジョンがポールの最高の作品のひとつだと評価

 ポールがリシケシュで目にした光景を元に書いた曲。平らな屋根の上で瞑想しているときに、猿の一団が歩いていた。突然、オス猿がメス猿の背中に飛び乗って腰を動かし、2,3秒後にはサッと飛び降り、知らんふりをしていた。メス猿もちょっと困ったように振り返って、気のせいだったのか、とでもいうようにまた歩き始めた。子作りとはこんなに簡単な行為なんだと驚いた。人間にとっては大変な行為なのに、動物にとってはそうじゃないという考えを元に作ったという。人間はどうして道端ではやらないんだろう?ということを原始的に表現した。

 キーは「D」でコードは「D7」と「G7」と「A7」しか使わないブルース・コード進行の曲で、歌詞は「♪ Why don’t we do it in the road」と「♪No one will be watching us」しかない曲だが、ポールの様々な歌い方で変化をつけている。

 1968年10月9日、第1スタジオにテクニカル・エンジニアのケン・タウンゼンドを連れて、ポールだけでレコーディングしている。まずアコースティック・ギターを叩くパーカッションとポールのボーカルを録音した。翌10日、第2スタジオで「グラス・オニオン」と「ピッギーズ」にジョージ・マーティンのアレンジによるストリングスのオーバー・ダビングが行われている間に、ポールはリンゴとケン・タウンゼンドと第3スタジオに入り、ポールの追加ボーカル、手拍子、ベース、エレクトリック・ギターおよび、リンゴのドラムスをオーバー・ダビングした。

 イントロは、ドラムと手拍子とアコースティック・ギターのボディトップを叩いている音。モノラル・バージョンでは2小節目から入ってくるクラップ(拍手)がない。

 ジョンはこの曲はポールの最高の作品のひとつだと評価していた。自分をレコーディングに参加させてくれなかったことに憤慨していた。12年後の『プレイボーイ』誌のインタビューでもそのことに触れているほどだ。

<使用楽器>
ジョン:不参加
ポール:マーティンD-28、リッケンバッカー4001S、ピアノ、エピフォン・カジノ、ドラムス、ハンド・クラップ
ジョージ:不参加
リンゴ:ドラムス