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2006年10月12日
邦題のオキテ その7
今日はアート・ペッパーの『モダン・アート』をBGMに書いています。
というのも,サックス&ブラス・マガジンの余韻さめやらぬからです。
おかげさまでサックス&ブラス・マガジンは大好評をいただき,
絶賛発売中でございます。ぜひ書店などでご覧下さい。
余韻さめやらぬといえば,我らが小沼ようすけ著の
『nu jazz スタイル ソロ・ギター』も大好評!
じわじわと支持の輪を広げています。
その小沼さんが,10/15日(日)と22日(日),
東京と名古屋にて,この本に対応したクリニックを行ないます!
本をお持ちの方,興味のある方,ぜひとも足を運んでみて下さい。
小沼さんの凄さはCDでも十分わかりますが,聴くと見るとでは大違い。
こんなにうまかったのか,こんなに凄かったのか,とびっくり仰天するでしょう。
ニコニコしながらさらりと弾きこなすそのフレーズの
軽やかなこと,スウィンギンなこと。
小沼ようすけは“見る”ミュージシャンでもあります。
小沼奏法の真髄が明かされるクリニックにぜひ!
さて,邦題のオキテもいよいよ佳境。
最後の“超訳”型を見てみましょう。
基本的にこのタイプは,原題をさほど重視せず,
アーティストや曲のイメージで決められたものと思えばいいでしょう。
まずは極め付きのこのふたつ。
「アメリカン・モーニング」(Just When I Needed You Most)
ランディ・ヴァン・ウォーマー
「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」(Arthur's Theme)
クリストファー・クロス
原題の片鱗一切なし。
しかも日本語ではなく,
英語でまったく新しいタイトルをひねりだす
というウルトラCをやってのけています。
もし邦題しか知らない人が,そのまんま英語に置き換えたとしたら,
ネイティブにはさっぱり通じないという現象が起きますね。
この手の類似現象としては,
外国人アーティストにたまたまジミヘンに関する質問をしたとします。
その時に英語で「ジミヘ〜ン」と 言ってもまったく通じません。
こういう場合,できる通訳さんはちゃんと「Hendrix」と訳してくれます。
それと同じですかね(笑)。
え,実際にそれで失敗したことがあるのかって?
あるわけないでしょう,オッホッホ。
話がそれました。
この2曲はどちらも大ヒット曲ですが,
強烈な邦題が目くらましとなって,原題がすっかりかすんだ例です。
実際,邦題は覚えていても,原題を覚えている人はほとんどいないでしょう。
完璧な成功例ですね。
おいらはこのタイプを“打ち手の小槌型”と呼びたいです。
打ち手の小槌型の変形としては,もっとディープなものもあります。
原題が何もないところからひねり出してくる見事な離れ業。
このタイプは,アルバムタイトルがなく,
アーティスト名をセルフタイトルにしたアルバムに多いようです。
『野獣生誕』(Aerosmith)エアロスミス
『浪漫』(Rickie Lee Jones)リッキー・リー・ジョーンズ
『神〜帰ってきたフライング・アロウ』(Michael Schenker Group)
マイケル・シェンカー・グループ
『慈愛の輝き』(George Harrison)ジョージ・ハリスン
『ジョンの魂』(Plastic Ono Band)ジョン・レノン
『幻想飛行』(Boston)ボストン
といったところでしょうか。
そして“超訳”型として最もよく見られるのが次のようなタイプでしょう。
どうですか,この数々の印象深いタイトル。
これは冗談ではありません。
「ジャニスの祈り」(Move Over)ジャニス・ジョプリン
「青春の光と影」(Both Sides Now)ジョニ・ミッチェル
「孤独の旅路」(Heart Of Gold)ニール・ヤング
『オーロラの救世主』(A New World Record)ELO
「いかすぜあの娘」(I Want You)キッス
「恋のハッピー・デイト」(Gotta Pull Myself Together)ノーランズ
「甘い罠」(I Want You To Want Me)チープ・トリック
「青春に捧げるメロディ」(Dedication)ベイ・シティ・ローラーズ
「ブギウギ列車夜行便」(Train Kept A Rollin')エアロスミス
「すっきりしたぜ」(I'll Feel A Whole Lot Better)ザ・バーズ
「地獄へ道づれ」(Another One Bite The Dust)クイーン
「ハイスクールはダンステリア」(Girl Just To Want To Have Fun)
シンディ・ローパー
「太陽と戦慄」(Larks Tongues In Aspic)キング・クリムゾン
「浮気娘」(Think For Yourself)ザ・ビートルズ
「天使のささやき」(When Will I See You Again)スリー・ディグリーズ
「夢見るトレイシー」(They Don't Know)トレイシー・ウルマン
「見つめ合う恋」(A Kind Of Hush)ハーマンズ・ハーミッツ
「想い出のサニー・ビート」(Oblivious)アズテック・カメラ
「暗闇にドッキリ」(Shot In The Dark)オジー・オズボーン
「ズィンク・アロイと朝焼けの仮面ライダー」
(Zinc Alloy And Hidden Riders Of Tomorrow Or A Creamed Cage in August)
Tレックス
それぞれ,邦題の決め手は楽曲やアーティストのイメージなんでしょうが,
時々,ジャケットのイメージで決まるものもあるようです。
最後のTレックスは,もう無法地帯に突入していますね。
商標権とか大丈夫なんでしょうか(笑)。
次は“盆栽型”。
『狂気』(The Dark Dide Of The Moon)ピンク・フロイド
『鬱』(A Momentary Lapse Of Reason)ピンク・フロイド
「長い夜」(25 Or 6 To 4)シカゴ
おみごと〜。
長々と邦題について書いてきました。
今後も,心に残る邦題がたくさん生まれて欲しいものです。
ところで,おいらの一番好きな邦題は,
「恋のピンチヒッター」(Substitute)ザ・フー
です。
Substituteは直訳すれば,「代役」ということですが,
それを「恋のピンチヒッター」と訳したこのセンスには脱帽せずにいられません。
この邦題だけで,60年代の日本でザ・フーがどういうバンドと
見られていたかがわかるし,曲調もわかる。
そして,どうにも日本人に馴染みにくい単語を
大衆スポーツである野球用語に置き換えるというにくいワザ。
そして強烈なインパクト。
これぞ非の打ち所のない本物の邦題でしょう。
まさに日本語を知っているかどうかが試される瞬間です。
本物かどうかは,それがシンプルかどうか考えてみればいい,
とジョン・レノンが言ってましたが,
その条件を十分に満たしています。
これほどシンプルなアプローチが他にあるでしょうか。
今の今までこれを超える邦題は
生まれていないとおいらは考えています。
好きな邦題をもう少しあげてみます。
「恋はあせらず」(You Can't Hurry Love)シュープリームス
「ひとりぼっちのあいつ」(Nowhereman)ザ・ビートルズ
「運命のひとひねり」(Simple Twist Of Fate)ボブ・ディラン
「恋人と別れる50の方法」(Fifty Ways To Leave Your Lover)ポール・サイモン
「表紙で本はわからない」(You Can't Judge A Book By Its Cover)
スティーヴィー・ワンダー
「素顔のままで」(Just The Way You Are)ビリー・ジョエル
「その時ハートは盗まれた」(I Saw Her Standing There)ザ・ビートルズ
「恋することのもどかしさ」(Maybe I'm Amazed)ポール・マッカートニー
『赤心の歌』(The Naked Songs)アル・クーパー
「悲しいうわさ」(I Heard It Through The Grapevine)マーヴィン・ゲイ
「二人だけのデート」(I Only Want To Be With You)
ダスティ・スプリングフィールド
ジ〜ンと来ませんか。
いい,本当にいい。
別にどれがどの型に当てはまるかなんて
本当はどうでもいいのです。
秋の夜長に酒でも飲みながら味わいたいものです。
さまざまな邦題を与えてくれたレコード会社の人,ありがとう。
さて,次からはケース・スタディと称して,
アーティスト別に邦題を検証してみます。
まだ続くのかよ。
投稿者 ギター・マガジン編集部 : 2006年10月12日 17:56
















