2006年10月31日

詩とイルミネーション その2

ふと右のカレンダーを見ると,今月は火曜は必ず書いていることに気づきました。
(オカオカのを含む)
別に意図したわけじゃないんですが,
月曜日は週明けでバタバタする上に,
会議やらなんやらで席にいないことが多いので,
いきおい火曜になるということでしょう。
開いてるマス目があると埋めたくなるのは人情ですから,
強迫観念にかられて今日も書いています。
これから会議のあわただしい時間なんですが。

今日のBGMはカーカスの『屍体愛好癖』です。
なんでかって?

いや,実はさっきオカオカがやってきて,
「変酋長,邦題のすごいやつあるんですけど」
と最高の笑顔で渡してくれたのがこれなんです。
メタル系に傑作邦題が多いのはよく知られていますが,これはデス・メタル。
想像を絶しました(汗)。
激しいブラストビートに首が痛くなりそうです。
そういえば,邦題ケーススタディをやるといいながら,
すっかりほっぽらかしてしまったので,
のちのちこれも詳しく見てみたいと思います。

さて,キング・クリムゾンの『宮殿』の話に戻りますね。
おいらがこのアルバムを初めて聴いたのは中学生の時。
NHK FMの『軽音楽をあなたに』という番組でした。
この番組は,うるさいDJ(アナウンサー)のMCもほとんどなく,
アルバムをまるごと一枚かけてくれるという
大変ありがたい内容だったので,もうエアチェックしまくりました。
『FMレコパル』で内容には常に目を光らせていましたが,
『宮殿』が特集された日は,実はそれほど興味がなく,
今日はオフだな,ぐらいに思っていたのですが,
身に付いた習慣とは恐ろしいもの。
いつものように自転車をすっ飛ばして帰り,なにげにラジオを聴いていました。

今日はエアチェックするつもりがないから気楽です。
いつもならポーズボタンに人差指を乗せて戦々恐々としているのですが,
この日はリラックスしていました。

記憶が曖昧ですが,たぶんクリムゾンのことを知らなかったんだと思います。
だから別にいいやと思ってたんですが,
「エピタフ」のあのイントロが出た途端,たまげました。
なにこれ?
そこからは姿勢を正し,慌ててテープの用意をし,
大変遺憾ながら途中から録音を始めました。
最後の「クリムゾン・キングの宮殿」の壮大なメロトロン・サウンドは
この世のものとは思えませんでした。圧倒されました。
これがキング・クリムゾンか……。

す,素晴らしい。

この時ほど,おのれの音楽に対する無知と認識不足を悔いたことはありません。
手元には,「エピタフ」のアルペジオあたりから中途半端に録音された『宮殿』。
完敗です。

咳をしてもひとり……

尾崎放哉の歌が鉄槌となって脳髄に食い込みました。
(つづく)


投稿者 ギター・マガジン編集部 : 11:51

2006年10月27日

詩とイルミネーション その1

今日は今度出るキング・クリムゾンのベスト,
『濃縮キング・クリムゾン』をBGMに書いています。
ロバート・フリップ責任監修+ライナーノーツ付きの決定盤。
有名曲はだいたいカバーされてますが,
何しろ彼らの音楽は曲が長いので,
「短縮版」という形で収録されているものもあります。
このあたり賛否両論呼びそうですが,
例えば「太陽と戦慄パート1」などは,
オリジナルにあるアンビエントな部分は省かれ,
ギター・パートのおいしいところがすぐに出てくるので,
コピーするのには返ってこっちのほうが都合がいいや,
と実用的に考えることもできます。
クリムゾンは大好きなんだけど,
曲は長いし,音があるんだかないんだかわからない,
あのまだるっこしい部分がどうにかならんかなあと思っている
おいらのようなファンには嬉しい編集ですね。
他にはお馴染みの「21世紀のスキッツォイドマン」,
「レッド」,「エレファント・トーク」,「ディシプリン」などなど
思わずコピーしたくなる曲がたくさん入っています。
そうでないのもありますが。

さて,クリムゾンといえば,
長いこと音楽を聴いていれば,いろんな思い出がくっついてきます。

以前書いたと思いますが,中学生の時,
先輩の家のレコード棚からなにげにひっぱりだしたレコードが
『クリムゾン・キングの宮殿』で,
ジャケを開いたら,ものすごい剣幕で先輩に怒られたことがあります。
見開きジャケは,開ききると,背に「筋」がついてしまうのです。
猛烈な勢いでおいらからレコードを取り返した先輩は
0.1秒以下のスピードでジャケットを閉じると,
背を上から下まで撫でていました。
あの時,部屋にこだました「パタン」という音は今でも
おいらの脳裏に焼き付いています。
覆水盆に返らずなんだけどね。悪いことしたな。

それ以来,「見開きジャケは全開禁止」というオキテが
おいらの体には染みついてしまいました。
不幸な体験です。

『クリムゾン・キングの宮殿』は押しも押されもせぬ
ロックの歴史的名盤ということになっており,
おいらも同意見ですが,
たとえクリムゾンやプログレが好きでなくても,
これだけは嫌いとは言えない,
「踏み絵」のようなアルバムだと言っていいでしょう。
今の若者のことはさっぱりわかりませんが,
少なくとも現在30代中盤ぐらいの音楽ファンの間では
間違いなくそうだと断言できます。
もし,このアルバムを「聴いたことがない」などと言ったら,
表面上は「あ,そう」ですまされるかもしれませんが,
心の中では「信用できない奴」のトレイに
その瞬間から移動されてしまいます。ホントか。
おいらは優しいし公平中立なので,
もちろんそんなことはしませんがね。オッホッホ。
幸いおいらのまわりには,「濃い」人ばかりだったので,
そういう経験自体がありませんが。
まあでも,『宮殿』に限らず,そういう性格を持つアルバムは
ほかにもゴマンとあるでしょうね。ああ,面白い。

この『宮殿』は確かに傑作です。
おいらが初めて聴いたのは忘れもしない中学生の時。
ま,30年ぐらい前ですね。
当時,おいらは放課後は,
だいたいギターを弾いてるかラジオやレコードを聴いてるかのどっちかで,
とにかく音楽音楽音楽。
休日はバイトで,帰りにレコード買うか,
カセットテープを買うかという生活。
今思い出しても,よくもあれだけ集中的に
音楽を聴けたものだと思うほど,音楽漬けの毎日でした。
今もそうっちゃそうですが,趣味と仕事は違うからね〜。
いろんな意味で(泣)。
音楽がなきゃ死んでたね。間違いなく。

恋のひとつもしなかったのかって?
オッホッホ,それを恋と呼べるかどうかは別としてね。
そりゃあ,その年頃の男子が考えることなんて皆同じですよ。
まあ「別腹」ってことで深く追及しないで下さい。

で,『宮殿』ですが,初めて聴いたのはFMラジオでした。
忘れもしないNHK FMの『軽音楽をあなたに』です。
スタッフの「愛しのあなた」がテーマソングで,
平日の夕方にやってた帯番組です。
この番組で放送された音楽をどれだけエアチェックしたか数え切れないですね。

ラジカセしか持っておらず,
タイマーは高価で別売りだったあの頃,
学校が終わると自転車をすっとばして家に戻り,
ラジオの前に座って録音ボタンを押した時の安堵感。
あれは今でも忘れられません。
前々から『FMレコパル』などの雑誌で,
放送メニューを入念にチェックし,
狙いを定めた音楽をやっと手元に保存できる。
これでもういつでも聴ける,という高揚した気持ち。
あんなに嬉しいことはそうそうありませんでした。

ところが,当の『宮殿』は録音し損なってしまったのです。よよよ。
(つづく)

投稿者 ギター・マガジン編集部 : 12:27

2006年10月24日

命中

あまりあいだを開けると,
せっかく読んで頂いている読者に忘れられるなあと思いつつ,
締め切りを押して書いております。
ちなみに今日のBGMは
タル・ファーロウの『リサイタル・バイ・タル・ファーロウ』です。
有名な『タル』もいいですが,
このライブ盤もタル・ファーロウの魅力を味わうには必須。
ホーンとの絡みもいい感じです。

さて,夕べはGラヴのライブに行ってきました。
彼がデビューしたのはたしか94年ですが,
あれからもう12年。干支で言えばひとまわりです。
イタリア製のビザール・ギターをトレードマークに,
ゆる〜く歌うあの姿は鮮烈でした。
一応,次号でライブレポートを書きますので,読んでみてください。

先週は押尾コータローにインタビューしてきました。
レーベルをSMEに移籍して初の作品です。
いつにも増してアッパーでハッピーなその内容。
今回は「色」がテーマだそうで,
それについてじっくり聴いてきました。
全12曲のチューニングもばっちり聞いたので,
押尾コピーに励む諸君は楽しみにしていてください。
これも次号です。

さっき,買い物に出たら,いきなり雨が目に入りました。
たった一粒なのに,いろいろ考えてしまってすごくいやでした。
そういう経験ありません?

投稿者 ギター・マガジン編集部 : 18:22

2006年10月18日

4人はアイドル

今日はエルレガーデンの新作『ELEVEN FIRE CRACKERS』をBGMに書いています。
待ちに待った新作ですが,待った甲斐あり!
先行シングル「Salamander」をも凌駕するトラックの数々!
いや〜,いきなりギターを持ってコピーしたくなりました。
なんですかね,この高揚感は。
昔々,エアロやZEPを聴いた時のあの衝動と似ています。
俺もロックをやりたい!!と思わせるあの高揚感。
素晴らしい! 
おいらがもう20歳若かったら,間違いなくバンドでやってます。
今からでも遅くないって? オッホッホ。

ところで,昨日はビートルズの“新作”の試聴会に行ってきたんですよ。
『LOVE』と題された相当の鳴り物入りアルバムですが,
期待半分・恐いもの見たさ半分でした。
内容はだいたい察しがつくものの,なにしろ聴いてなければ
語る資格はないので,万難を排して出かけたというわけです。

聴きました。
これを新作というには,おいらはビートルズを聴き過ぎている。
そう思いました。
なにしろ30年以上も聴いているのですから。

さて,も一度エルレを聴こう。
筆もはかどるってもんですわ。

投稿者 ギター・マガジン編集部 : 17:15

2006年10月17日

めぐるめぐるよ

今日は中島みゆきの11月に出る新作『ララバイSINGER』をBGMに書いています。
TOKIOが歌ったあの「宙船(そらふね)」の
本人バージョンを収録した話題作ですが,
全体的には素朴なフォーク・アルバムの感が強く,
「時代」の頃の彼女が戻ってきた感じです。
特に1曲目の「桜らららら」は,
甘酸っぱい3フィンガー・フォークソングで,
ちょっと泣きそうになってしまいました。
いやだね,歳とると涙もろくなって。よよよ。

さて,TOKIOといえば,いま発売中のギター・マガジン11月号
長瀬智也&城島茂のライブ機材レポートが載っているので,
ぜひお見逃しなく!
フィエスタ・レッドのストラト,
アレン・コリンズ・エクスプローラー,
フェンダー“ノーキャスター”
PRSマッカーティなどなど,
TOKIOを支えるレア&ビューティをきっちり紹介しています。
長瀬&城島のコメントもあり!
ほかのどこでも読めない貴重な取材です。

15日の小沼ようすけクリニックは大盛況でした。
会場で配られた,小沼特製「自宅練習メニュー」は
来場者の宝物となったことでしょう。
クリニックの模様は12月号でレポートします。

そうそう,11月号では小沼ようすけを始め,
エリック・クラプトンやジェフ・ベックも取り上げている
永遠のスタンダード「オーバー・ザ・レインボー」を題材に
ソロ・ギターのやり直し特集をしています。
もううまくならないとあきらめていた人はぜひ!

投稿者 ギター・マガジン編集部 : 16:01

2006年10月12日

邦題のオキテ その7

今日はアート・ペッパーの『モダン・アート』をBGMに書いています。
というのも,サックス&ブラス・マガジンの余韻さめやらぬからです。
おかげさまでサックス&ブラス・マガジンは大好評をいただき,
絶賛発売中でございます。ぜひ書店などでご覧下さい。

余韻さめやらぬといえば,我らが小沼ようすけ著の
『nu jazz スタイル ソロ・ギター』も大好評!
じわじわと支持の輪を広げています。

その小沼さんが,10/15日(日)と22日(日),
東京と名古屋にて,この本に対応したクリニックを行ないます!
本をお持ちの方,興味のある方,ぜひとも足を運んでみて下さい。
小沼さんの凄さはCDでも十分わかりますが,聴くと見るとでは大違い。
こんなにうまかったのか,こんなに凄かったのか,とびっくり仰天するでしょう。
ニコニコしながらさらりと弾きこなすそのフレーズの
軽やかなこと,スウィンギンなこと。
小沼ようすけは“見る”ミュージシャンでもあります。
小沼奏法の真髄が明かされるクリニックにぜひ!

さて,邦題のオキテもいよいよ佳境。
最後の“超訳”型を見てみましょう。
基本的にこのタイプは,原題をさほど重視せず,
アーティストや曲のイメージで決められたものと思えばいいでしょう。

まずは極め付きのこのふたつ。

「アメリカン・モーニング」(Just When I Needed You Most)
ランディ・ヴァン・ウォーマー
「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」(Arthur's Theme)
クリストファー・クロス

原題の片鱗一切なし。
しかも日本語ではなく,
英語でまったく新しいタイトルをひねりだす
というウルトラCをやってのけています。
もし邦題しか知らない人が,そのまんま英語に置き換えたとしたら,
ネイティブにはさっぱり通じないという現象が起きますね。

この手の類似現象としては,
外国人アーティストにたまたまジミヘンに関する質問をしたとします。
その時に英語で「ジミヘ〜ン」と 言ってもまったく通じません。
こういう場合,できる通訳さんはちゃんと「Hendrix」と訳してくれます。
それと同じですかね(笑)。
え,実際にそれで失敗したことがあるのかって?
あるわけないでしょう,オッホッホ。

話がそれました。
この2曲はどちらも大ヒット曲ですが,
強烈な邦題が目くらましとなって,原題がすっかりかすんだ例です。
実際,邦題は覚えていても,原題を覚えている人はほとんどいないでしょう。
完璧な成功例ですね。
おいらはこのタイプを“打ち手の小槌型”と呼びたいです。

打ち手の小槌型の変形としては,もっとディープなものもあります。
原題が何もないところからひねり出してくる見事な離れ業。
このタイプは,アルバムタイトルがなく,
アーティスト名をセルフタイトルにしたアルバムに多いようです。

『野獣生誕』(Aerosmith)エアロスミス
『浪漫』(Rickie Lee Jones)リッキー・リー・ジョーンズ
『神〜帰ってきたフライング・アロウ』(Michael Schenker Group)
マイケル・シェンカー・グループ
『慈愛の輝き』(George Harrison)ジョージ・ハリスン
『ジョンの魂』(Plastic Ono Band)ジョン・レノン
『幻想飛行』(Boston)ボストン
といったところでしょうか。

そして“超訳”型として最もよく見られるのが次のようなタイプでしょう。
どうですか,この数々の印象深いタイトル。
これは冗談ではありません。

「ジャニスの祈り」(Move Over)ジャニス・ジョプリン
「青春の光と影」(Both Sides Now)ジョニ・ミッチェル
「孤独の旅路」(Heart Of Gold)ニール・ヤング
『オーロラの救世主』(A New World Record)ELO
「いかすぜあの娘」(I Want You)キッス
「恋のハッピー・デイト」(Gotta Pull Myself Together)ノーランズ
「甘い罠」(I Want You To Want Me)チープ・トリック
「青春に捧げるメロディ」(Dedication)ベイ・シティ・ローラーズ
「ブギウギ列車夜行便」(Train Kept A Rollin')エアロスミス
「すっきりしたぜ」(I'll Feel A Whole Lot Better)ザ・バーズ
「地獄へ道づれ」(Another One Bite The Dust)クイーン
「ハイスクールはダンステリア」(Girl Just To Want To Have Fun)
シンディ・ローパー
「太陽と戦慄」(Larks Tongues In Aspic)キング・クリムゾン
「浮気娘」(Think For Yourself)ザ・ビートルズ
「天使のささやき」(When Will I See You Again)スリー・ディグリーズ
「夢見るトレイシー」(They Don't Know)トレイシー・ウルマン
「見つめ合う恋」(A Kind Of Hush)ハーマンズ・ハーミッツ
「想い出のサニー・ビート」(Oblivious)アズテック・カメラ
「暗闇にドッキリ」(Shot In The Dark)オジー・オズボーン
「ズィンク・アロイと朝焼けの仮面ライダー」
(Zinc Alloy And Hidden Riders Of Tomorrow Or A Creamed Cage in August)
Tレックス

それぞれ,邦題の決め手は楽曲やアーティストのイメージなんでしょうが,
時々,ジャケットのイメージで決まるものもあるようです。

最後のTレックスは,もう無法地帯に突入していますね。
商標権とか大丈夫なんでしょうか(笑)。

次は“盆栽型”。
『狂気』(The Dark Dide Of The Moon)ピンク・フロイド
『鬱』(A Momentary Lapse Of Reason)ピンク・フロイド
「長い夜」(25 Or 6 To 4)シカゴ

おみごと〜。

長々と邦題について書いてきました。
今後も,心に残る邦題がたくさん生まれて欲しいものです。
ところで,おいらの一番好きな邦題は,

「恋のピンチヒッター」(Substitute)ザ・フー

です。

Substituteは直訳すれば,「代役」ということですが,
それを「恋のピンチヒッター」と訳したこのセンスには脱帽せずにいられません。
この邦題だけで,60年代の日本でザ・フーがどういうバンドと
見られていたかがわかるし,曲調もわかる。
そして,どうにも日本人に馴染みにくい単語を
大衆スポーツである野球用語に置き換えるというにくいワザ。
そして強烈なインパクト。
これぞ非の打ち所のない本物の邦題でしょう。
まさに日本語を知っているかどうかが試される瞬間です。
本物かどうかは,それがシンプルかどうか考えてみればいい,
とジョン・レノンが言ってましたが,
その条件を十分に満たしています。
これほどシンプルなアプローチが他にあるでしょうか。

今の今までこれを超える邦題は
生まれていないとおいらは考えています。

好きな邦題をもう少しあげてみます。

「恋はあせらず」(You Can't Hurry Love)シュープリームス
「ひとりぼっちのあいつ」(Nowhereman)ザ・ビートルズ
「運命のひとひねり」(Simple Twist Of Fate)ボブ・ディラン
「恋人と別れる50の方法」(Fifty Ways To Leave Your Lover)ポール・サイモン
「表紙で本はわからない」(You Can't Judge A Book By Its Cover)
スティーヴィー・ワンダー
「素顔のままで」(Just The Way You Are)ビリー・ジョエル
「その時ハートは盗まれた」(I Saw Her Standing There)ザ・ビートルズ
「恋することのもどかしさ」(Maybe I'm Amazed)ポール・マッカートニー
『赤心の歌』(The Naked Songs)アル・クーパー
「悲しいうわさ」(I Heard It Through The Grapevine)マーヴィン・ゲイ
「二人だけのデート」(I Only Want To Be With You)
ダスティ・スプリングフィールド

ジ〜ンと来ませんか。
いい,本当にいい。
別にどれがどの型に当てはまるかなんて
本当はどうでもいいのです。
秋の夜長に酒でも飲みながら味わいたいものです。
さまざまな邦題を与えてくれたレコード会社の人,ありがとう。

さて,次からはケース・スタディと称して,
アーティスト別に邦題を検証してみます。
まだ続くのかよ。

投稿者 ギター・マガジン編集部 : 17:56

2006年10月11日

邦題のオキテ その6

先日,友人からメールがあって,
「新聞に邦題ネタが載ってたよ」というので見てみると,
たしかに,載っていました。
「洋楽に日本語タイトル復活」というタイトルで,
ダニエル・パウターの「バッド・デイ〜ついてない日の応援歌」を例に出し,
洋楽の世界に邦題復活の兆しが見える,というような主旨でした。
他にも例の『驚異』などいくつかが紹介されていました。
興味深いのは,現ユニバーサルミュージック会長の石坂敬一さんの
コメントをとっていたこと。
その昔『原子心母』や『狂気』の邦題をつけた張本人です。

邦題をつけるには
“音楽性や作品を的確に理解し,
そして日本語をどれだけ知っているか試される”
(朝日新聞 10月6日夕刊より引用)と語っておられました。

う〜ん,邦題最前線で活躍された氏ならではの深いコメントです。
傑作名作邦題はこうして生まれてきたのですね。

さて,邦題のオキテですが,どこまで書いたっけな。
次は意訳型でしたね。

思いつくままにずらりと並べてみましょう。

「素敵じゃないか」(Wouldn't It Be Nice)ビーチ・ボーイズ
「生きながらブルースに葬られ」(Buried Alive In The Blues)
ジャニス・ジョプリン
「くよくよするなよ」(Don't Think Twice,It's All Right)ボブ・ディラン
「恋をちょっぴり」(Give A Little Love)ベイ・シティ・ローラーズ
「とけない魔法」(Prolonging Magic)ケーク
「四月になれば彼女は」(April Come She Will)サイモンとガーファンクル
「胸いっぱいの愛を」(Whole Lotta Love)レッド・ツェッペリン
「モタモタするな」(Stop Messin' Around)フリートウッド・マック
「愛という名の欲望」(Crazy Little Things Called Love)クイーン
「どうにもならない望み」(Helplessly Hoping)CSN&Y
「駆け足の人生」(Life In The Fast Lane)イーグルス

いくらでもありますが,このくらいにしておきましょう。
これらは原文の意味を忠実にくみ取ろうとする姿勢が見られます。
また,次のように,やや逸脱しながらも
ギリギリのラインでつけられたパターンもあります。
特に,原題に“〜の”という接頭語を付け足したり,
意図的に語頭を改変したりするもの。
アーティストのイメージに沿ってつけられたものが多く,
けっこう見応えがあり,中にはかなりの名訳も含まれています。

「恋のゲーム」(It's A Game)ベイ・シティ・ローラーズ
「宇宙のファンタジー」(Fantasy)アース・ウィンド&ファイアー
「恋のサバイバル」(I Will Survive)グロリア・ゲイナー
「恋のナイト・フィーヴァー」(Night Fever)ビー・ジーズ
「いとしのセシリア」(Cecilia)サイモンとガーファンクル
「悪魔のドクター・ラヴ」(Calling Dr.Love)キッス
「想い出のサマーナイツ」(Summer Nights)
オリビア・ニュートン・ジョン&ジョン・トラボルタ
「紫の炎」(Burn)ディープ・パープル
「霧のベイカー・ストリート」(Baker Street )ジェリー・ラファティ
「僕のコダクローム」(Kodachrome)ポール・サイモン
『緑の地平線』(Horizen)カーペンターズ
「孤独のメッセージ」(Message In A Bottle)ザ・ポリス
「冬の散歩道」(A Hazy Shade Of Winter)サイモンとガーファンクル
「遥かなるドーヴァー」(Cliffs Of Dover)エリック・ジョンソン
「二人のイエスタデイ」(Since Yesterday)ストロベリー・スイッチブレイド
「おしゃれフリーク」(Le Freak)シック
「帰らぬお前はワイルド・ワン」(Wild One)シン・リジィ
「悲しきサルタン」(Sultans Of Swing)ダイアー・ストレイツ
「カーマは気まぐれ」(Karma Chameleon)カルチャー・クラブ
「まるっきりパラダイス」(Just Like Paradise)デヴィッド・リー・ロス

などなど。

このパターンでは“愛の”とか“恋の”がよく見られますが,
負けず劣らず,“青春の““いとしの”は,アイドル系に多く見られ,
“地獄の”“悪魔の”はキッスやAC/DC,“宇宙の”はアースの専売特許ですかね。
“〜の”という言葉が頭についたタイトルは,
原題が英単語一語であることが多く,それではいかにも座りが悪いから
わざわざつけるのでしょう。

そして意訳型にもあります。例の“盆栽型”。

「太陽賛歌」(Set The Controls For The Heart Of The Sun)ピンク・フロイド
「駄目な僕」(I Just Wasn't Made For These Times)ブライアン・ウィルソン
『俺と仲間』(I've Got My Own Album To Do)ロン・ウッド
『童夢』(Every Good Boy Deserves Favor)ムーディ・ブルース
『暴動』(There's A Riot Goin' On)スライ&ファミリー・ストーン

厳密に漢字ばかりではありませんが,どうです,この印象に残るタイトル。
長ったらしい英語が見事にスポッとコンパクトなサイズに収まっています。
これを機能美と呼ばずしてなんと呼びましょうか。

他の意訳型には,英語の一部を省略して
カタカナのまま邦題化するものもあります。
おいらは“すっとばし型”と呼んでいます。

「サンシャイン・ラヴ」(Sunshine Of Your Love)クリーム
「ストレンジ・ウーマン」(Strange Kind Of Woman)ディープ・パープル
『ファースト・キッス』(The First Of A Million Kisses)
フェアグラウンド・アトラクション
『ミルキー・ナイト』
(Cobra And Phases Group Play Voltage In The Milky Night)
ステレオラブ
「アリバイ」(Waiting For An Alibi)シン・リジィ

ざっとこんなところでしょうか。
まだまだ分類できそうですが,今日はもう力尽きました。
いよいよ次は,珍作・迷作の宝庫である,
“超訳“型を見てみましょう。


投稿者 ギター・マガジン編集部 : 14:01

2006年10月10日

えんだ〜♪

ご無沙汰しております!
本年初頭から沸々とわき出した結婚したい熱が,
再びハートを刺激し始めているオカオカです☆

それはなぜかと申しますと……
先週末,お友達の女の子の結婚式2次会にお呼ばれしちゃったからなんです。
普段からかわいい人なんですが,
純白のドレスに包まれた彼女は,これまでになくキュートで,それはそれは幸せそうでした。
たくさんの友人に囲まれて,見ているこっちまで幸せ満開。

そんなステキな2次会は,銀座にあるムーディなライブハウスで行なわれました。
ライブハウスで……ということは,バンドマンの出番です。
そう,幸せカップルを祝福する余興(?)として,
オカを含む地元お友達チームは,急造バンドで数曲プレイするという名誉ある大役をいただきました。
その中の1曲が“エンダ〜♪”でお馴染みの(本当は“and I〜”ですが/笑),
「オールウェイズ・ラヴ・ユー」ホイットニー・バージョンです。
スラッシャーのオカが弾く微妙なクリーン・トーン・アルペジオは置いといて,
転調してからの大サビではステージに上がった新郎新婦がお姫様だっこ&チュ〜のスペシャル・パッケージ!
ひょえぇぇぇのラブラブ・オーラがライブハウスを包みました。

そのほか男女ペアでほ乳瓶ジュース早飲ませ大会など,
(新婦さんが元保母さんなんです。意気込んで参加したオカは残念ながら2位。ペアだったSさんありがとうございました)
ふたりのキャラクターそのままの,笑顔絶えない2次会は大盛り上がりで進みます。

そんなこんなで楽しい時間はあっという間に終了,
ふたりはラブラブ・オーラそのままに,
愛の巣へと戻っていったのでした(←表現が古い!?)。


と,言うことで,
ますます“結婚したいよー”と心が勝手に叫び続けるオカ。
よし,年内結婚を目指すぞ……
……
……
……,
そうだ,それにはまず相手の人を見つけないと。。。

基本的なところでストップしてしまう,お茶目な(?)オカオカなのでした☆
チャンチャン!

投稿者 ギター・マガジン編集部 : 11:32

2006年10月06日

邦題のオキテ その5

今日はバッファロー・スプリングフィールドの
『バッファロー・スプリングフィールド』をBGMに書いています。
このところ,邦題について書き連ねるために,
毎日毎日家のCD棚を渉猟しているわけですが,
ニール・ヤングはどうだっけなあと手を止めると,やはりいろいろありました。
「孤独の旅路」(Heart Of Gold)とかね。
そのついでに,無性にバッファローが聴きたくなったというわけです。
もちろん邦題もありますよ。
「君を愛していると思う」(Sit Down I Think I Love You )など。

もうこの話題飽きましたかね〜?
でも,書き続けるのには理由があるんですよ。

読者の中には,このオッサンはなんでこんなことについて
くどくどと書いてるんだろうと疑問に思う人もいるかもしれません。
特に若い人はそうかもしれませんね。
というのは,どうも若い人ほど邦題には馴染みがないようなのです。
うちの編集部でもSなどは,まるっきりの邦題チェリーボーイ。
ビートルマニアのくせに「恋を抱きしめよう」が原曲と一致しないんですから。
なげかわしいったらありゃしません。
今の時代は,輸入盤が普通に買えるし,
配信でも音楽は手に入りますから,そもそも邦題を知る機会がないのでしょう。
加えて,近年になればなるほど,
邦題自体がめっきり減って,もはや絶滅寸前です。
これは洋楽ディレクターの若返りといったことにもよるのでしょうが,
今となっては邦題はダサい,意味がない,
などの考え方が主流になってきているからではないでしょうか。
あ,これはまったくの推測ですので,
レコード会社の人,違ったらごめんなさい。
しかしおいらは声を大にして言いたい。
もっと邦題を!と。
この素晴らしい日本語文化を廃れさせてはいけません。
映画や書物などでは昔と変わらず邦題の洪水じゃありませんか。
しかも,これはちょっとどうなの?と思うものも多い。

というわけで最初に戻りますが,
なんでおいらが邦題について書いてるかと言えば,
好きだからです。大好きなのですよ。
理由はこの一点です!

だから,今度出るエアロスミスのベスト盤,
『エアロスミス濃縮極極ベスト』
原題:Devil's Got A New Disguise(The Very Best Of AEROSMITH)
のようなタイトルを見つけると拍手喝采を送りたくなりますわ。

投稿者 ギター・マガジン編集部 : 14:54

2006年10月03日

邦題のオキテ その4

今日はアイアン・メイデンの最新作
『ア・マター・オブ・ライフ・アンド・デス〜戦記』をBGMに書いています。
デイヴ・マーレイ,エイドリアン・スミス,ヤニック・ガーズの
トリプル・ギターから繰り出される鉄壁のアンサンブルは唯一無二。
最強ヘヴィメタル・アイコンの健在ぶりを見せつけてくれます。

もうお気づきかと思いますが,ここにも邦題がつけられています。
原題の" A Matter Of Life And Death”に続いて,“〜戦記”。
まあ,いらないっちゃいらないですが,あったほうが圧倒的にシマるのですよ。
邦題とはそういうもんかも。

何を隠そう,11月号ではアイアン・メイデンの特集もやってます。
デイヴ・マーレイの取り下ろしインタビューを始め,
最新作の奏法分析,過去の代表曲の奏法分析,ディスコグラフィー,
3人男のギター使用遍歴を探るグラフなどなどからなる大ボリュームです。
今,その最終校正中なんですが,いや〜,さすがはメイデン。
凄まじい邦題のオンパレード(死語)です。
まずはデビュー・アルバムのタイトルからして『鋼鉄の処女』ですから,
あとはもう推して知るべし。
傑作名作がズラリと並んでいます。

「撃墜王の孤独」(The Aces High)
「魔力の刻印」(The Number Of The Beast)
「誇り高き戦い」(Run To The Hills)
などなど。

そういえば,おいらも若い頃はメイデンの
「プローラー」や「キラーズ」なんかを一生懸命コピーしたっけなあ。
うお〜,メイデン最高!!!!!
というわけで,11月号のメイデン特集,楽しみにお待ち下さい!!!

さて,前回の続きです。
邦題の付け方は以下の3つに大別されると書きました。

1.直訳型
2.意訳型
3.“超訳”型

これらがそれぞれいくつかに細分化されるのですが,
まずは直訳型から見ていきましょう。

これは文字通り,原題をそのまま訳したタイトル。

「ピンボールの魔術師」(Pinball Wizard)ザ・フー
「世界は日の出を待っている」(The World Is Waiting For The Sunrise)
レス・ポール&メリー・フォード
「奇妙な果実」(Strange Fruits)ビリー・ホリデイ

のような例ですね。
命名者は当然原題のニュアンスは大切にしようとするでしょうから,
これが最も妥当なやり方なのでしょう。
直訳とはいっても,ある程度意訳の要素も含んでいます。
説得力は抜群ですが,その代わり,正直言って面白みには欠けるのが難点。

しかし,例えば,
「知りたくないの」(I Really Don't Want To Know)スタンダード曲
「魔法を信じるかい?」(Do You Believe In Magic?)ラヴィン・スプーンフル
のように,微妙に語尾のニュアンスを工夫して,
人間臭さ(例えば性別とか年齢とか)を加えているものもあります。

あと,なぜ訳す?と問いたくなるもの。

「彼女」(She)キッス
『英吉利の薔薇』(English Rose)フリートウッド・マック
「夢」(Dreams)オールマン・ブラザーズ・バンド
「腹黒い女」(Black Hearted Woman)オールマン・ブラザーズ・バンド

“Black Hearted”は本当に“腹黒い”という意味なんだろうかと,
余計なことまで考えてしまいますね。

そして,邦題が熟語風の漢字にピタッと収まるタイプ。

『原子心母』(Atom Heart Mother)ピンク・フロイド

こういう日本語が本当にあるのかという問題はおいといて,
とにかく爽快というか,機能美に溢れています。
おいらは特にこのタイプを“盆栽型”と名付けたいです。
ごちゃごちゃっとした英語を数語の漢字に凝縮するというテクニックは
まさに日本人ならでは。
盆栽を愛でる心に通じるのではないでしょうか。

え,Atom Heart Motherは別にごちゃごちゃ長くないし,
けっこうわかりやすい単語ばかりじゃないかって?
ん〜,そうなんですよ。
つなげると意味不明ですが,ひとつひとつはわりあい馴染みのある英単語。
ここでは,少々強引に引き合いに出しました。
実は,この“盆栽型”は直訳型にはあまり見られず,
むしろ意訳型や“超訳”型のほうにこそ,その醍醐味があるのです。
ですので,もう少しお待ち下さい。
直訳型でしかも盆栽型の例は,もう少し探してみないといけませんね。

今日はこのくらいでしょうかね。
次回は意訳型を。

先ほどようやく11月号が校了。
お疲れ様でした〜。

投稿者 ギター・マガジン編集部 : 21:29

2006年10月02日

邦題のオキテ その3

今日はピンク・フロイドの『狂気』をBGMに書いています。
本誌読者ならこのアルバムを聴いたことのない人は少ないと思いますが,
おいらもかれこれ30年ぐらい聴き続けて一向に飽きない,真の名盤です。
聴くたびに何かしら新しい発見がありますし,
それよりも何よりもデイヴ・ギルモアのギターの素晴らしさ,凄さ。
これは筆舌に尽くしがたいです。
ジミヘン,クラプトン,ベックなどと同様,ギルモアもストラトマスターの一人。
この人独特のひきつれるようなトーンは何度でもお代わりして味わいたいです。

本誌11月号ではそのギルモアを表紙に,
出たばかりのライブDVD『驚異』の大特集を組んでいます。
この映像の目玉はなんといっても,完璧に再現された『狂気』のステージ。
いやはやもうこの世のものとは思えない,一大スペクタクルです。
まさに光と音の洪水。
特集では,ギルモアがこのライブについて語った95年のインタビューを始め,
アルバム『狂気』の奏法解説もフィーチャーして,
『驚異』のすべてを徹底分析します。
ぜひチェックして下さい。

さて,ピンク・フロイドといえばやはり邦題です。
『狂気』はもちろんのこと,
『原子心母』,『炎』,『鬱』,『対』などなど傑作タイトルの宝庫で,
もはや邦題なくしては成立しないといっても過言ではないでしょう。
『狂気』の原題である“Dark Side Of The Moon”というのは
割合よく知られていると思いますが,DVD『驚異』の原題は“PULSE”。
ちょっと考えるとそのまま「パルス」でよさそうなものです。
実際,95年にVHS版が出た時にはこのタイトルでした。
しかし,リマスタリングされたり数々の特典映像が付与された
今回のDVD版では堂々たる邦題がつけられました。

この邦題を付けた人は誰か?

リリース元であるソニーの担当ディレクター氏です。
“驚異”という邦題になぜ至ったか?
その過程をドキュメントした氏のブログが公開されていますので,
こちらもぜひチェックしてみて下さい。
レコード会社のディレクターが邦題命名の苦悩を公開するなど,
昔ではありえなかったことで,物凄く興味深い内容が語られています。

さて,やっと邦題,いや本題に入りましょう。
前回の続きですが,邦題はタイトルを印象づけて,
曲なりアルバムなりをより多く売るためと書きました。
そして,そのつけ方には実にユニークな点が見られます。
そのオキテを考察してみることにしましょう。

おいらの分析によれば,邦題のつけ方は次の三つに大別されます。

1.直訳型
2.意訳型
3.“超訳”型

以上をふまえて,具体的な事例を次から見ていきましょう。

投稿者 ギター・マガジン編集部 : 12:01