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2006年01月19日

J-POPのイカシたベース・プレイ

昨日のことですが,おいらがポール・マッカートニーの
インタビュー翻訳原稿の推敲に没頭していたところ,
ふと人の気配がして横を見ると,
ベース・マガジンの期待の若手 I が亡霊のように立っていました。
やや,なんだと思うまもなく,
開口一番 I は,
「実はJ-POPのベースラインの特集をやるんですけど,
お薦めの曲はありませんか」と言うではありませんか。

ほお,これはまた奇特な特集を。

「え,今のJ-POPはよくわからないよ。昔の歌謡曲なら詳しいけど」
と返すと,
「昔でも今でもいいんです」とのこと。

どうも,歌謡曲ならおいらと,
社内では相場が決まっているらしく,
この手の相談をたびたび受けるのですが,
こういう時,内心嬉しく思いながらも,
あまりマニアックなものや萌えなものを連発して,
引かれても困るので,嬉し恥ずかし朝帰りというか,
なんというか加減が難しくて考え込んでしまいます。
しかも,今回はベース。
ギターなら,いくらでもすぐに思いつきますが,
さすがのおいらもベースまではきっちりチェックしてません。
それでも,まあどうにかなるかと記憶をたぐります。

とりあえず,仕方ないなという顔をしながらも,i TUNESをオープン。
そこに常時備蓄してある,歌謡曲,ニューミュージック,
J-POPのリストを繰りながら,
これがいいんじゃないかなと提案していきました。

とりあえず一番にあげたのはジュリー。
まあ,ジュリーならロックとも言えるし,
相手が20代の若者でも,通ずるところはあるかなと思い,
軽いジャブのつもりであげてみました。

「“憎みきれないろくでなし”とかいいんじゃないかな」

すかさず,曲をスタート。
おいらにとってはお馴染みのギターのリフが飛び出します。
思った通りベースもかっこいいです。

I は「ほお」とかいいながら聴いています。
「あとは“TOKIO”とかね」

なかなかの好反応のようです。
むむむ,それならこれはどうだ。

「浅野ゆう子の“セクシー・バス・ストップ”とかさ」
「え,浅野ゆう子って歌手だったんですか?」

しくじった。それすら知らなかったか……。
おいらが考え込んでいると,
「松田聖子とかユーミンにはないですかねえ」と I が言うので,
それならおいらの専門分野じゃないかと,間髪入れずに
「松田聖子なら絶対“夏の扉”だよ」と言い放ち,
iTUNESのリストをスクロールしたところ,
なんと,聖子のアルバムはけっこうストックしているのにもかかわらず,
「夏の扉」はありませんでした。むむむ。
「あれれ,ない。でも,たしかベースは大仏さん(高水健司)で
チョッパーがかっこよかったよ」
というと,I は「はあ」とかいいながら,聴いています。
「ユーミンはどうですか?」というので,
「荒井由実時代? それとも松任谷?」
「荒井でお願いします」
「それなら“COBALT HOUR”だね」
すかさずその曲を探し出してクリック。
細野晴臣のトロピカルでファンキーなベースが飛び出してきました。
「かっこいいですね」とI 。
お,初めてまともに反応したな,とやや満足なおいら。
その後も続々70年代後半から80年代前半の歌謡曲の
これはと思う曲をあげていき,
その時代のベースの傾向はこうだったんだよねえ,などと
講釈までたれるハメになってしまいました。
「70年代の後半はなんといってもディスコ全盛だったから,
そういうのが多いよね。ファンキーというかさ。
露骨にモータウンをパクッたようなのもあるし。
石野真子の“日曜日はストレンジャー”とかね」
I はやはり「ほお」とか「はあ」とかいいながら聴いています。
ちょっと行き過ぎたかなと反省しているとIが
「井上陽水なら何でしょうか?」と聞くので,
しばらく考えた後,「やっぱり“感謝知らずの女”だよ」と
言ってやると,知らない様子。
「え,知らないの。あんな名曲を」
「ええ,ベスト盤に入ってますかね」
「入ってると思うよ」
I がすかさずベスト盤を取って戻ってきましたが,
見事に入ってませんでした。
「じゃあ,“夢の中へ”とかかねえ」
「…………」

「はあ」とかいいながらもしっかりメモをとり,
「参考になりました」とにこやかに帰っていった I。
最後の最後に控えめに聴かせた太田裕美の「9月の雨」が
おいらの一番のお薦めだと気づいてくれたでしょうか。
どんな特集ができるのか非常に楽しみです。

投稿者 ギター・マガジン編集部 : 2006年01月19日 11:59