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2007年01月26日
GARO マーク,トミー,ボーカルが紡ぐ水色の世界
[ 元編集長の独り言 ]

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 アコギ・マガジン読者の皆様,こんにちは。普段は「変酋長」として、ギター・マガジン・ブログであれこれと書き連ねている「元編集長」でございます。アコギ・マガジン31号は明日発売されますので,よろしくご愛読下さい。

 さて,この31号の中に,わたくし1ページほどいただいて(奪って?),ガロに関する記事を書いています。昨年,11月についに発売されたGARO BOXの紹介記事です。そこでは書き尽くせなかったことも多いので,この場を借りて,ロング・バージョンとして載せることにしました。こんなことができるなんて,まったくいい時代になったものです。非常に長いので退屈なことと思いますが,時間のある時にでもお読みいただければ幸いです。


◎GARO BOXがついに発売! マーク,トミー,ボーカルが紡ぐ水色の世界

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『GARO BOX』
ソニー・ミュージックダイレクト
MHCL981〜991 完全限定生産

 ガロのボックス・セットが発売された。オリジナル・アルバム8枚に、アルバム未収録曲+未発表曲集、未発表ライブ音源集、そしてDVDを加えた11枚組。しかも全紙ジャケ仕様という豪華版だ。90年代中期頃から、彼らのいわゆるソフトロック的側面が再評価され、98年にすべてのオリジナル・アルバムがCD化されたが、再プレスされることもなく、あとはそれっきりとなっていたため、今回のボックス化はまさに奇跡のリリースであり、彼らの全貌を知る絶好の機会となるだろう。元メンバーの大野真澄監修。完全限定生産でソニー・ミュージックダイレクトより。価格は23,100円(税込)。

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GARO。左から日高富明,堀内護,大野真澄。

 本誌読者には釈迦に説法かもしれないが、ガロは堀内護(マーク)、日高富明(トミー)、大野真澄(ボーカル)による、日本を代表するアコースティック・グループである。70年に結成、76年に解散した。メンバー3人ともクロスビー・スティルス&ナッシュ(CSN)を敬愛し、3声によるコーラスとアコースティック・ギターを核としたポップで洒脱なサウンドを得意とした。その音楽性は同年代の日本のフォークとはまったくの別物、完全に一線を画しており、見事なくらいに洗練されていた。加えてメンバーの甘いルックス。とりわけ、マークとトミーの、まるで少女漫画から抜け出してきたかのような長髪に痩身、そして花柄のシャツにベルボトムという出で立ちは、当時の多感な女の子たちを虜にした。

◎GAROには他に聴くべき曲が山ほどある

 彼らの人気に火がついたのは72年の「学生街の喫茶店」からである。今でもカラオケに行けば必ず置いてあり、年末年始の"懐メロ・スペシャル”のような番組では定番として歌われる曲だ。良くも悪くもこの曲が大ヒットしてしまったがために、ガロは押しも押されもせぬメジャー・グループにのし上がり、結果として解散まで紆余曲折の運命をたどることになる。短くもはかない活動期間であった。しかし、その間に残した彼らの音楽は宝石のきらめきに満ちている。

 ガロ・ファンは、決してティーンエイジャーの女子だけだったわけではない。1st『GARO』を聴いて、その洋楽的なセンスとギター・テクニックに魅了され、コピーに励んだ男子もたくさんいたのである(現在の本誌読者?)。「学生街」が悪いとは言わない。しかし、それがガロの本質からかけ離れた曲であることは否めない。ガロにはほかに聴くべき曲が山ほどあるのである。CSNを超えるとまで言われた美しいハーモニー、そしてオープン・チューニングを駆使してマーティンD-45、ギブソンJ-200などを操るマークとトミーの卓越したギター・テクニック。それこそがガロである。駆け足ではあるが、ここでは各アルバムを解説してみたい。


◎GARO全オリジナル・アルバム解説

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『GARO』
 まずは1stの『GARO』(71年)。デビュー・アルバムにしてガロのすべてがここにある。冒頭の「一人で行くさ」から、透き通るようにクリアなアコギの音とゴージャズなハーモニーが飛び出し、めくるめくポップワールドが展開される。CSNマナーの「たんぽぽ」、オープンDチューニングのアンサンブルが印象的な「暗い部屋」は彼らのアコギの素晴らしさを堪能できる傑作。「水色の世界」、「小さな恋」、「地球はメリーゴーランド」など、のちに"ソフトロック”という文脈で再評価されることになる甘めのポップ作品も多数収録されている。発売時には、ヒットはしなかったが、うるさ型の洋楽ファンには熱狂的に支持された。


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『GARO2』
 ガロはオリジナル曲を志向していたグループだが、制作者サイドの都合で職業作家の曲やカバーを歌わざるを得ない場面も多かった。「学生街〜」もその例である。『GARO2』(72年)は全編カバー&他人の曲を歌った作品で、「学生街〜」を収録しているために最もポピュラーな作品だが、ギター的にはあまり見るべきところはない。ただし「美しすぎて」は、作者の村井邦彦のポップセンスとガロのハーモニーがマッチした超名曲なので、押さえておきたい。しかも、これはシングルとアレンジが異なるのである。


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『GARO3』
 前作の反動か、『GARO3』(72年)は全曲メンバーの作品で固められた。マーク、トミーのソングライティングが爆発した最高傑作と言っておこう。冒頭の「涙はいらない」から、比類なきハーモニーポップの世界へ引きずり込まれる。当時これほどめくるめくドリーミーな音楽が日本にあったということが驚きである。CSNからの影響はここでも垣間見られ、「木馬」、「時の魔法」などマークの曲にそれが現われている。対するトミーは「心の鍵」、「一人にしないよ」で、繊細で甘い音を聴かせたかと思うと、「明日になれば」、「オールド・ファッション・ラプソディー」で、のちに傾倒することになるハードなロック・サウンドの片鱗を披露している。


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『GARO LIVE』
 『GARO LIVE』は、ガロ唯一のライブ盤。「学生街」が大ヒットした直後の絶頂期にあるステージ(横須賀市文化会館)を収めたもの。この時点での最新シングル「君の誕生日/散歩」が強引にカップリングされるなど多分に企画盤的要素があるが、選曲も演奏も申し分なく、当時のステージの様子を的確に伝えてくれる。何より、あの時あの場所にしかなかった空気を詰め込んでいるのがいい。そして、「忘れていたもの」を聴くと、彼らのコーラスが本物であることがわかるのである。


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『GARO4』
 『GARO4』(73年)は再び他人の曲がほとんどを占めるアルバムで、作曲陣にすぎやまこういちや村井邦彦がいるためか、全体にグループサウンズの匂いのするアルバムである。白眉はマーク作の「ロマンス」。これを聴くだけでも価値がある。ボーカル作の「恋人」も、のんびりとした佳曲だ。


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『CIRCUS』
 続く『CIRCUS』(74年)は、ガロ初のコンセプト・アルバム。文字どおりサーカスをテーマにしている。


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『吟遊詩人』
  そして『吟遊詩人』(75年)はティンパン・アレイ系のミュージシャンを起用したシティ・ポップス色の強い作品。マークとトミーが初めて共作した組曲風の「吟遊詩人」が耳に残る。ギター・プレイにも初期のようなCSN的聴きどころがあり、後期の名曲と言っていいだろう。


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『三叉路』
 ラスト・アルバムとなる『三叉路』(75年)。この頃になると、メンバーの音楽的志向の違いがはっきりとし、三者三様の曲を書き分けている。全体的にロック色が強く、初期のようなみずみずしさはないが、成熟したソングライティングの味がにじみ出て、粒ぞろいの曲が並んでいる。コーラス・ハーモニーも円熟の域だ。マークの「夜間飛行機」は特筆すべき曲だろう。後期3枚の中では最もクオリティの高い作品と言える。


 以上がオリジナル・アルバムであり、どの作品も今聴いてもまったく色あせない。70年代のフォーク・アルバムなどを聴くと、甘酸っぱいノスタルジーと含羞がこみ上げてくることがあるが、ガロの作品にはその種のクサ味がほとんどない。当時どれだけ洗練されていたかが改めてわかるのである。


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 さて、ボックスにはまだまだ続きがある。アルバム未収録曲+未発表曲集には、「美しすぎて」のシングル・バージョンを始め、「エプロンドレスの女の子」(名曲!)、「どこまでも駆けてゆきたい」、デビュー前の演奏である「LOVE THE ONES YOU'RE WITH」(スティーヴン・スティルスのカバー)など珠玉のレア・トラックを、未発表ライブ音源集には「TEACH YOUR CHILDREN」(CSN&Yのカバー)などを収録。


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 そして、極め付きはDVDだ。TVKのアーカイブから「暗い部屋」、「個人的メッセージ」、「吟遊詩人」のスタジオ・ライブ映像を収録。「暗い部屋」では、左手のアップ・シーンも多数あり、ガロ奏法の解明にも役立つこと間違いなし。DVDには、他2曲の演奏と彼らの人気絶頂ぶりを伝えるニュース映像も収めている。当時の風俗を知るにも面白い。大野真澄による全アルバム解説、坂崎幸之助、三沢またろう、ムッシュかまやつによるコメントなどを掲載したブックレット付き。考え得る限りの特典を満載したこのボックス・セットで、ぜひガロの水色の世界に触れてみてほしい。

投稿者:AGM編集部 | 13:00 |



 


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